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16日の会合で事務局の内閣府が無限責任を維持する方針案を示し、学識経験者ら委員が大筋で受け入れた。「予見性がないと原子力の担い手がいなくなる」と責任制限を訴えてきた経団連も、国の責務を明確にすることなどを条件に容認した。
1961年に制定した原子力損害賠償法は事故を起こした電力会社に無限責任を負わせる。ただ福島第1原発事故では6兆円にのぼる賠償を東電1社では賄えず、関西電力や中部電力などほかの大手も一緒に負担するしくみをつくった。無限責任の原則と実態がかけ離れているため、将来の事故に備えて賠償制度の見直しを検討してきた。
有限責任制にすれば、電力会社は一定額を超えた賠償をしなくてよくなる。専門部会は、国民の理解を得られないうえ責任限度額をいくらにするかといった問題も大きいとして採用を見送った。
現行法で賠償総額のうち1200億円を上限としている政府補償は増やす。ただ仮に10倍の1兆2000億円まで政府が補償することにしても、福島事故の6兆円にはほど遠い。実際には大きな事故が起きれば、誰がどう負担するかその都度検討することになる。
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