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芸能界の荒波を生きるのんと主人公が重なり合う、戦時下における日常アニメ『この世界の片隅に』via サイゾー

映画の冒頭、現在は広島平和記念公園となっている広島市中島町一帯が広島県産業奨励館(原爆ドーム)をはじめ見事な色彩で再現され、思わず目を奪われる。原作に魅了され、5年がかりで本作を完成させたのはベテランのアニメーション作家・片渕須直監督。前作『マイマイ新子と千年の魔法』(09)では平安時代の街並みを鮮やかに甦らせた片渕監督が、今回は原爆によって一瞬で消えてしまった広島の街並みを、そこで暮らしていた人たちの息づかいと共に再現してみせる。本作を見ている自分たちは昭和18~20年にタイムスリップし、すずと一緒に戦時中の庶民の生活を体感することになる。

広島市の海沿いの町・江波で生まれ育った主人公すず(声:のん)は感受性豊かな女の子。子どもの頃に怪物に連れ去られそうになったり、祖母の家で座敷童子のような不思議な少女に出会ったりした。無垢なすずの心の中では、リアルとファンタジーが仲良く共存している。絵を描くことは得意だが、それ以外のことはボンヤリしているすずは18歳になり、縁談話が持ち上がった。断る理由もないことから、呉で軍関係の裁判所に勤めている北條周作(声:細谷佳正)のもとに嫁ぐことに。気分はまだ子どものままのすずは、同じ広島県内とはいえ顔見知りがまったくいない呉での周作一家との同居生活にはすぐには馴染めない。久しぶりに広島の実家に里帰りして、うたた寝から目覚めると「あせった……。呉へ嫁入りする夢を見とったわ」と大ボケをかまし、両親からあきれかえられる始末だ。

(略)

すずが大切にしていたもの、守ろうとした世界を、片渕監督はアニメーションとして甦らせ、そしてのんが声優としてその世界に命を吹き込んだ。愛すべき日常生活がスクリーンの中に息づいている。126分間にわたるタイムトラベルを終えた我々は、70年前にすずが味わった喜びと痛みを同時に体感することになる。

全文は芸能界の荒波を生きるのんと主人公が重なり合う、戦時下における日常アニメ『この世界の片隅に』

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