2度の手術も、リンパや肺に転移。第2人も甲状腺にのう胞が… 福島原発事故後に甲状腺ガン 20歳女子の悲痛な日々 via みんな楽しくhappyがいい

取材・文 明石昇二郎

8月31日の福島県の発表によると、11年3月の福島原発事故発生当時18歳以下だった県民36万7685人のうち、甲状腺ガン、またはその疑いがあるとされた人は137人。発症率は10万人あたり37.3人で、通常の100倍近くも高い。とくに左ページ下の地図で示した「汚染17市町村」の発症率は10万人あたり42.9人で、ガンが見つかったAさんも同地区内で悲痛な日々を過ごしている。

東日本大震災が起きた当日は、Aさんの中学校の卒業式だった。原発事故直後の3日間は外出をひかえていたものの、その後は通常の生活を続けていたという。

「県立高校への進学が決まっていました。事故から1週間後には、制服を注文するため母と一緒にJR福島駅前にあるデパートに出かけたんです。高校入学をひかえた子供たちが押しかけ、デパートは超満員。建物の外にまで行列がのび、私たちも30分ほど屋外で待たされました」(以下、ことわりのない発言Aさん)

当時は県内の空間放射線量が非常に高く、福島市内では毎時10マイクロシーベルトを記録していた。そうした事実をしらされず、Aさんはマスクをつけずに外出していたのだ。

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今年4月には肺がん治療のため「アイソトープ治療」も受けた。放射性ヨウ素の入ったカプセルを飲み、転移したガン細胞を破壊するという療法だ。

「カプセルを飲む2週間ほど前から食事制限があり、大好きなお菓子も食べられません。飲み物は水だけ。カプセルを飲んだ後も3日間の隔離生活を強いられます。強い放射能のため周囲の人が被曝する可能性があるからです。お風呂に入るのも家族で最後。医師からは『トイレの水も2回流すように』と言われました」

Aさんは4人兄弟の長女で、第2人も「甲状腺に嚢胞がある」との診断を受けている。だが県立医大の担当医は発病と原発事故との因果関係は「考えにくい」としか言わない。

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疫学と因果推論が専門の岡山大学大学院、津田敏秀教授が解説する。
「最も空間線量が高かった時期に、福島県では県立高校の合格発表が屋外で行われていました。生徒も線量の高さを知らされず無用な被曝をしていた。Aさんが暮らしている場所は、住民が避難していない地域で最大のレベルの甲状腺癌多発地域です。Aさんのケースも原発事故の影響である確率が非常に高い」

東京電力の回答はこうだ。
「事故で大変なご迷惑をかけていることを深くお詫び申し上げます。(病気に対する補償や謝罪のお問い合わせには)個別に伺い適切に対応します」(広報室)

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