あまりにも無責任すぎる! 原子力規制委員会の正体 ――広瀬隆×田中三彦対談<中篇> via ダイヤモンドオンライン

『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が第5刷となった。
本連載シリーズ記事も、累計171万ページビューを突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者が、元福島第一原発の原子炉設計者で、現在、翻訳家・サイエンスライターの田中三彦氏と対談。
田中氏は福島原子力発電所国会事故調査委員会の委員をつとめた。
避難にまったく責任を持たない原子力規制委員会の闇を追及する。
(構成:橋本淳司)

田中 8月11日に川内原発が再稼働しました。原発周辺の人は、「新規制基準に適合し、安全な原発になったから再稼働した」と思いたいのかもしれません。しかしながら、それは大きな誤解です。

「新規制基準」とは、安全かどうかを見定めるものではないのです! 実際、この基準を策定しはじめたころ、規制委員会はそれを「新安全基準」と呼んでいた。しかし、やがて自分たちがつくろうとしているものが「安全基準」でないことに気づき、慌てて名称を「新規制基準」に変えている。

新規制基準とは、あくまで、重大な原発事故が起きうることを認めたうえで、その対応ができているかどうかを見定めるものです。

広瀬 再稼働直前の検査段階で、九州電力が何をやりましたか? 大事故を想定した訓練をやったのですよ。要するに事故は起こると思いながら再稼働させているわけです。それをみんなが認識していないということですよね。

(略)

田中 2014年3月号の雑誌『科学』(岩波書店)に、「不確実さに満ちた過酷事故対策――新規制基準適合性審査はこれでよいのか」(井野博満、滝谷紘一)に、川内原発・伊方原発・高浜原発・玄海原発など、再稼働の対象になっている加圧水型原発(PWR)の審査のやりとりが書かれているのですが、この内容はかなり衝撃的です。

原子炉に直結している大口径配管(一次冷却水配管など)が破断し、何らかの原因で交流電源(外部電源と非常用交流電源)が失われた場合、配管の破 断で冷却水が失われてゆき、しかも電気がこないために緊急炉心冷却装置のポンプが動かず、格納容器スプレイ装置も動かないという最悪の事態になります。
九州電力によると、佐賀県にある玄海3・4号機の場合、わずか約22分で原子炉の炉心が溶融するという事態に突入します。たった22分ですよ。

その間に、移動式発電機と電動注入ポンプをつなぎ込み、格納容器への注水を準備するのにさらに30分かかり、約52分後に注水開始になるとしています。
このとき原子力規制庁の役人でさえ、「原子炉の炉心溶融を止める、あるいは遅らせるという努力を一切せずに放置するのか」と尋ねて、問題視していますが、九州電力の社長は、「炉心溶融を止める手段は一切ない」と答えています。

(略)

肝心な部分は自治体に丸投げ!
原発事故は「大量殺人罪」だ

広瀬 7月31日、東京第五検察審査会は東京電力福島第一原発事故をめぐって、東京電力の勝俣恒久、武藤栄、武黒一郎の3人について、原発の安全対策において極めて高度の注意義務があり、想定外の事態も起こり得ることを前提とした対策を検討しておくべきものだとして、業務上過失致死傷の罪で強制起訴するべきだとする2度目の議決を下しました。
つまり、これは大量殺人罪で有罪だという判断なのです。

田中 当然の判断でしょう。5層というのは、国民の健康と安全に関して最も重要な部分ですが、福島原発事故があってもなお、このことを国も規制委員会も自治体に丸投げしています。いまその問題を真剣に考えて取り組んでいるのは、泉田裕彦知事の新潟県くらいでしょう。

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