東京電力福島第一原発で二年前、東電は水が漏れる危険性を認識しながら急場しのぎでいくつも地下貯水池を造り、そこに超高濃度の汚染水を入れた。やはり汚染水漏れが起き、周辺の地下水ではいまだに汚染が続くため、現場は継続的な処理に追われている。安易な選択のツケはかなり高くついた形だ。 (小倉貞俊)
問題の地下貯水池は、汚染水を貯蔵するタンクの用地が不足する中、クレーンが使えない土地にも造れるからと東電が編み出した。池となる掘った部分には粘土層を敷き、三重の遮水シートで覆ってはいるが、一般的な廃棄物処分場の防護層より薄く、一リットル当たり数億ベクレルと放出基準の四百万倍はある高濃度の放射性ストロンチウムなどを含む汚染水を厳重保管できるような性能はなかった。
東電は汚染水の増加傾向を見越して十分なタンクを造る必要があったが、貯水池は一つで数千トンとタンク数基分の容量があるため、タンクの増設ペースをゆるめた。二〇一三年一月、いよいよタンクが不足し、きちんと公表することもないまま、貯水池に汚染水を入れ始めた。
わずか三カ月後の四月には水漏れ事故の発生が確認された。漏れは遮水シートが破れる構造的な問題が原因。東電は計二万七千トンに上る池の汚染水を抜き、タンクを急造して移送するしかなかった。
貯水池から汚染水はほぼなくなったものの、漏れた水の濃度があまりにも高いため、周辺の監視井戸からくみ出した水は数万ベクレルの汚染度に。行き場がないため池に戻しているが、今度は池の壁面や底にこびりついたストロンチウムなどが溶け出し、一〇〇万ベクレル程度にまで濃度が上昇。池に水がたまると、再びくみ出し、汚染水がたまるタービン建屋地下に移送するなどの対応を強いられている。
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