(表現のまわりで)「鼻血問題」への思い 「美味しんぼ」原作者・雁屋哲さん via 朝日新聞

昨春、週刊ビッグコミックスピリッツに掲載された漫画「美味しんぼ」は、東京電力福島第一原発を訪れた主人公が鼻血を出す描写などが厳しく批判された。『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』(遊幻舎)を2日に出版した原作者の雁屋哲さん(73)に、今の思いを聞いた。

(略)

問題とされたのは同誌の昨年4月28日と5月12日発売の号。福島第一原発の構内を取材した主人公らが原因不明の鼻血を出し、福島県双葉町の前町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と語る場面や、前町長や福島大の教員が「福島はもう住めない」などと語る場面が描かれた。

■表現などを修正

昨年末に発売された単行本第111巻では、主人公が鼻血を出す描写は残ったが、被曝(ひばく)との因果関係をめぐる表現など10カ所以上を修正し た。「批判の矛先が取材の証言者にも向かったため、その人たちを守る必要がありました。取材した中から穏当な言葉を選び直し、誤解がないように解説を付け て発行しました」

雁屋さんは、福島第一原発取材後、経験のない疲労感に襲われ、鼻血が続いたという。チェルノブイリ福島県で鼻血を出した人たちの記録なども調べたと話す。「福島では、私以外にも原因不明の鼻血を出した人たちがいますが、議論すらされない」

ただ、鼻血については、多くの専門家が「被曝との因果関係は科学的に考えられない」と指摘する。

環境省も「被曝が原因で住民に鼻血が多発しているとは考えられない」と見解を発表。福島県が実施した県民健康調査の結果から、疲労感・鼻血などの症状が表れるほどの被曝をした人は確認されていないと説明した。

(略)

この問題では、安倍内閣の閣僚などからも、「根拠のない差別や偏見を助長する」「風評被害を招く」といった批判が続出した。雁屋さんは、住民が不安な気持ちを率直に公言できることが必要だという。

「福島は安全とする国への異論は、『風評』の一言で封じ込まれてしまう。批判することを許さず、何もなかったことにさせようとしているように感じます。大事なのは、議論すること。私の意見が間違っているというのなら、一緒に議論しましょうよ」

全文は(表現のまわりで)「鼻血問題」への思い 「美味しんぼ」原作者・雁屋哲さん 

This entry was posted in *日本語 and tagged , , , , . Bookmark the permalink.

Leave a Reply