“エネルギ―の地産池消”という見出しが新聞などで目につく。
「言うは易く行うは難し」の典型だろう。27日付の日本経済新聞は朝刊1面で、「いくつかの自治体が、エネルギー企業設立の検討に入った」と報じた。(注1)しかし、既に稼働している企業がある。その企業のことは一切この記事では触れられていなかったが。
その企業の名前は、会津電力(注2)という。2013年8月に福島県喜多方市で産声を上げた。設立趣旨を、HPから引用する:
“ 原発の暴走を許してしまったこの責任を次世代負担としないようにする為に、 福島県内の電力エネルギー需要を再生可能なエネルギーのみでまかなうことを可能にする体制を作り上げることを理念とし、 私達自身が原発の危険性を見過ごして来た責任をもって会津電力株式会社を設立する”
その会津電力は29日、喜多方市雄国(おぐに)太陽光発電所の竣工式を行った。総発電量1メガワット、300世帯分の電力を供給する。既に28日には東北電力と系統連携接続を完了、売電が始まった。“森に沈む発電所”の異名を持つこの発電所は近くでは威容を誇るが、山の中腹に建設されているため、平地から見上げるとその姿はほとんど見えない。
雪国で太陽光?と訝る向きもあろうが、地上から2.5メートルの高さにパネルを設置、表面に特殊コーティングを施し、更に角度を30度としたことで、雪が積もりにくく、十分な発電効率を確保することに成功した。
特筆すべきは、この会津のエネルギー地産地消の動きは“二つの地域”が支えているということだ。一つは地域金融。一つは地域住民だ。会津電力には地元の東邦銀行が2億5千万融資している。実は被災地の金融機関は震災後預金量が大幅に増えた。国からの復興交付金や、賠償金を得た個人預金などが積みあがった結果だが、その余剰資金が効率よく地元企業に融資されていないことが問題となってきた。しかし、会津電力のケースは、地元の金融機関がその将来性を買い、融資に踏み切ったという点で画期的であり、意義深い。
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