毎日新聞が原発事故時の避難受け入れ先になっている市町村に実施した全国調査では、長期避難への備えなど、受け入れ側の態勢が整っていないことが明らかになった。財源確保が難しいことが背景にあり、市町村からは、財政面や他自治体との調整で国や県の支援を求める声が根強い。
新規制基準に基づく再稼働第1号と見込まれる九州電力川内原発(鹿児島県)。最短で約40キロにある熊本県水俣市は、人口の4分の1にあたる避難者6645人を、隣接する鹿児島県出水(いずみ)市から受け入れる計画だ。出水市は避難計画を策定済みだが、水俣市は受け入れ計画を策定できていない。
水俣市は出水市から避難所確保の要請を受け、多目的ホールなど市内28施設を提供することで昨年12月に合意。避難所を運営する職員や光熱水費は出水市が派遣、負担する。だが、多数の避難者が長期滞在する場合の食料など救援物資の手配ができておらず、避難者の体に放射性物質が付着していた場合の除染の場所や手段も決まっていない。
受け入れ側の市町村には、国の財政支援がない。30キロ圏内の道府県には国の交付金があるが、対象は事故前の防災対策が主だ。事故後にかかる費用は「原子力損害賠償法に基づき、事故を起こした電力会社が支払う」(原子力規制庁)。
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