「被爆地蔵」通じて平和訴える 首なし地蔵などの写真集を自費出版 米国で個展、心とらえる via msn産経ニュース

 原爆に焼かれた「被爆地蔵」を撮り続ける写真家がいる。被爆2世の清水顕さん(63)=広島市西区田方。昨年は米国でも個展を開催し、反響の大き さに「地域で大切にされてきた地蔵には、平和を訴える力がある」と実感した。将来は国連で被爆地蔵の写真を展示したいと願っている。(松前陽子)

被爆地蔵を撮り始めたのは平成21年初夏。友人を平和記念公園(広島市中区)に案内したとき、隣接する西蓮寺に足を伸ばした。偶然だったが、そこには台座 の焼けただれた被爆地蔵があった。原爆はほぼ直上で炸(さく)裂(れつ)。地蔵は崩れずに残り、台座の表面は熱線を浴びた側だけザラザラになっていた。

母は爆心地から3・7キロで被爆。2世の写真家として「広島」を表現するテーマを探していたが、「普段目に入っていたはずなのに見ていなかった。自分が広島のことを知らなかったと気づいた」。

(略)

市内で被爆地蔵を探して歩くと、爆心地周辺では跡形もないが、半径1キロ以内では首のない地蔵や顔がそげて手足のない地蔵が多数見つかった。約40 カ所の寺院を巡り、120枚を収めた写真集「ヒロシマの仏石写真集-地蔵の記憶」を昨年5月に自費出版、市内の公民館などに贈呈した。

昨 年8月には、米・西海岸のロサンゼルスとサンフランシスコ近郊で個展を開催。「原爆を投下した米国で受け入れられるか不安だった」が、評判はフェイスブッ クなどを通して瞬く間に広がり、フィラデルフィアやピッツバーグなどの東海岸、ブラジルなどからも来場者が詰めかけ、9日間で約700人を集めた。

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