東京電力福島第1原発の汚染水問 題で、東電は2日、護岸に掘った観測用井戸で11月28日にくみ上げた地下水から、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質を1リットル当たり 110万ベクレル検出したと発表した。これまでの最高値は同91万ベクレル(11月25日)だった。ベータ線を出す代表的な放射性物質ストロンチウム90 の国の放出基準は同30ベクレル以下。今回の値は、この基準の3万6000倍以上に当たる。
東電によると、高濃度の放射性物質が検出されたのは、2号機の東側、海まで約40メートル地点に掘られた井戸。港湾内の海水濃度に大きな変化はない。
地下水の汚染を巡っては、2号機原子炉建屋から護岸までの地下に広がるトレンチ(配管などが通るトンネル)から、高濃度汚染水が地中に漏れ出ていることが懸念され、既に護岸周辺のトレンチ内の汚染水は除去された。今回の濃度上昇から、トレンチの外の地中に放射性物質が残っている可能性があり、東電の今泉典之原子力・立地本部長代理は記者会見で「過去に漏れ出たものとの関係も調べる必要がある」と説明した。
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汚染された地下水は1日約300トンが港湾内に流出しているとみられ、東電は7月から水あめ 状の薬剤「水ガラス」で土を固めて壁を造る工事を進めている。【鳥井真平】
全文は汚染水:観測用井戸から110万ベクレル検出 過去最高値