長崎市長、「被爆国の原点に帰れ」政府を批判【全文】 via Huffingtonpost

長崎への原爆投下から68年となる8月9日、田上富久長崎市長が「長崎平和宣言」を読み上げた。安倍晋三首相も出席した平和式典で、日本政府がNPTの共同声明へ署名しなかったことや、インドと進めている原子力協定交渉を批判した。以下、宣言を全文掲載する。

68年前の今日、このまちの上空にアメリカの爆撃機が一発の原子爆弾を投下しました。熱線、爆風、放射線の威力は凄まじく、直後から起こった火災は一昼夜 続きました。人々が暮らしていた街は一瞬で廃墟となり、24万人の市民のうち15万人が傷つき、そのうち74,000人の方々が命を奪われました。生き 残った被爆者は68年たった今もなお、放射線による白血病やがん発病への不安、そして深い心の傷を抱え続けています。

このむごい兵器を作ったのは人間です。広島と長崎で二度までも使ったのも人間です。核実験を繰り返し、地球を汚染し続けているのも人間です。

人間はこれまで数々の過ちを犯してきました。だからこそ忘れてはならない過去の誓いを、立ち返るべき原点を、折りにふれ確かめなければなりません。日本政府に被爆国としての原点に帰ることを求めます。

今 年4月、ジュネーブで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会で提出された核兵器の非人道性を訴える共同声明に80カ国が賛同しました。南 アフリカなどの提案国は、わが国にも賛同の署名を求めました。しかし日本政府は署名せず、世界の期待を裏切りました。人類はいかなる状況においても核兵器 を使うべきではない、という文言が受け入れられないとすれば核兵器の使用を状況によっては認めるという姿勢を日本政府は示したことになります。これは二度 と、世界の誰にも被爆の経験をさせないという、被爆国としての原点に反します。

インドとの原子力協定交渉の再開についても同じです。 NPTに加盟せず核保有したインドへの原子力協力は、核兵器保有国をこれ以上増やさないためのルールを定めたNPTを形骸化することになります。NPTを 脱退して核保有を目指す北朝鮮などの動きを正当化する口実を与え、朝鮮半島の非核化の妨げにもなります。日本政府には被爆国としての原点に帰ることを求め ます。

(略)

核兵器のない世界の実現を国のリーダーだけに任せるのではなく、市民社会を構成する私たち一人ひとりにもできることがあります。「政府の行為によって再び 戦争の惨禍が起こることのないやうにする」という日本国憲法前文には平和を希求するという日本国民の固い決意が込められています。かつて戦争が多くの人の 命を奪い、心と体を深く傷つけた事実を戦争がもたらした数々のむごい光景を決して忘れない、決して繰り返さないという平和希求の原点を忘れないためには戦 争体験、被爆体験を語り継ぐことが不可欠です。

若い世代の皆さん、被爆者の声を聞いたことがありますか。「ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・ウォー ノーモア・ヒバクシャ」と叫ぶ声をあなた方は被爆者の声を直接聞くことができる最後の世代です。68年前、原子雲の下で何があったのか。なぜ被爆者は未来 のために身を削りながら核兵器廃絶を訴え続けるのか。被爆者の声に耳を傾けてみてください。そしてあなたが住む世界、あなたの子どもたちが生きる未来に核 兵器が存在していいのか、考えてみてください。互いに話し合ってみてください。あなたたちこそが未来なのです。

地域の市民としてできるこ ともあります。わが国では自治体の90%近くが非核宣言をしています。非核宣言は、核兵器の犠牲者になることを拒み、平和の求める市民の決意を示すもので す。宣言をした自治体でつくる日本非核宣言自治体協議会は今月、設立30周年を迎えました。皆さんが宣言を行動に移そうとするときは協議会も、被爆地も、 仲間として力をお貸しします。

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