増える汚染水、遠い廃炉 セシウム吸着塔ずらり 福島第一原発ルポ via 朝日新聞

放射線が廃炉作業を阻み、放射能汚染水だけが増え続けていた。20日、朝日新聞記者が原子力規制庁の検査官に同行し、まもなく事故から2年がたつ東京電力福島第一原発の内部をみた。廃炉作業が完了するのは2050年ごろ。気の遠くなる作業は始まったばかりだ。

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原子力規制庁福島第一原子力規制事務所の小坂淳彦所長は被曝(ひばく)には細心の注意を払っているという。「放射能が局所的に高いホットスポットもいまだに把握しつくされてはいない」と話す。

一方、1~3号機の事故で溶けた燃料を冷やした水と建屋に流入した地下水が混ざり、汚染水は増え続けている。汚染は除去しきれず、敷地内にタンクで保管 している。2011年7月は約1万トンだった汚染水は、今年2月には23万トンに増えた。今も1日数百トンずつ増えている。建屋の地下にも10万トン程度 のたまり水がある。

11年8月から稼働している放射性セシウムの吸着装置サリーの内部にも報道機関として初めて入った。円筒形のセシウム吸着塔が薄暗い建屋に並べられてい る。最近は汚染水のセシウム濃度も下がっているという。近づこうとしたら「放射線量が高いので近づかないように」と検査官に制止された。

原子炉建屋やサリーのある海岸から、高台に上がりかつて「野鳥の森」と呼ばれた広場に向かった。森林を切り開いた広場に、3階建てビルと同じくらいの高さのタンクが並べられていた。タンクは現時点で500近くある。

ほとんどの放射性物質を除去できる装置アルプスは昨年中に稼働予定だったが、廃棄物を入れる容器の耐久性に問題が指摘され、計画が遅れている。漁業関係 者らの反発もあり、汚染を取り除いたとしても処理水の海洋放出は当面難しい。今後さらにタンクを増設の予定で、汚染水の扱いは自転車操業が続く。東電は 15年までに敷地南側に70万トン分までタンクを増やす計画だ。

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1~3号機原子炉建屋は現在も放射線量が非常に高く、作業員が容易に近づけない。事故で溶けて原子炉から漏れ出た燃料は格納容器や配管などに散らばっていると見られるが、どこにあるかわかっていない。

燃料を取り出すためには、格納容器を水で満たす必要がある。しかし、事故で格納容器が破損、溶けた燃料を冷やして出た放射能汚染水が漏れ続けている。水が漏れている場所もわかっていない。

水漏れの場所を特定しようと、昨年12月に特別に開発したロボットを2号機の圧力抑制室のある場所に入れたが、中でバランスを崩して立ち往生し、失敗した。

廃炉のためには、技術開発が欠かせない。しかし、「特殊な技術で汎用(はんよう)性が少ない」「投資しても回収できない」などとして、メーカーやゼネコンでは技術開発の機運があまり盛り上がっていない。

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