14件解明できず 「限界」と環境省 via 福島民報

県内で進められている国直轄の除染で不適切な管理が指摘された情報19件のうち、14件の事実関係は闇の中-。18日、調査結果を発表した環境省は、証 拠不足や主張の食い違いなどを理由に「調査の限界」を認めた。「共同企業体(JV)寄りの甘い調査結果だ」。避難者や首長からは批判や不信の声が相次い だ。「手抜きは氷山の一角」とみる除染作業員も。同省は監視体制の強化などの再発防止策を示したが、いかに実効性を高められるかが課題だ。

■嫌疑不十分
事実関係が解明されなかった14件の調査結果のほとんどで、環境省は「指摘された行為があったと断定するには至らなかった」との見解を示した。県庁で記者会見した環境省福島環境再生事務所の大村卓所長は「調査機関ではないので事実解明に限界がある」と釈明した。
未解明の14件のうち、田村市で作業員が川の縁に積もった枯れ葉を足で川に流した-との指摘については、受注した鹿島JV側が「絶対に故意ではない。熊手 が川に落ち、回収したときに撮られた写真」と反論。環境省は「主張に隔たりがあり、断定するには至らなかった」と“嫌疑不十分”とした。
「明るみになったのはごく一部ではないか」。田村市都路町の会社員坪井秀幸さん(35)は環境省の調査結果に疑いの目を向ける。「単に監視担当者を増やすだけで解決するとは思えない。工期や廃棄物の保管場所なども検証すべき」と指摘した。

■問われる実効性
避難先で古里の除染を待つ住民からは不適切な除染の再発防止を求める声が上がった。飯舘村から福島市松川町に避難する佐藤明康さん(71)は「不適正な除染をした場合、程度の差にかかわらず作業から排除すべき」と訴えた。
だが、南相馬市内の現場で除染作業に携わる関東地方の五十代男性は「作業員はみんな一生懸命やっているが、流れる汚染水を完全に回収するのは難しい。口で言うのは簡単だが、やりようがない」と苦しい胸の内を明かした。
環境省は「除染適正化プログラム」で監督職員の増員や「不適正除染110番(仮称)」の開設など監視体制の強化を打ち出した。しかし、今後、5市町で本格 除染が始まる。作業員の数は増える一方だ。田村市都路町の避難指示解除準備区域で除染に従事している男性は「いくら増やしても全員の動きを把握するのは物 理的に限界がある」と指摘した。

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