東京都知事選がきょう二十九日告示される。東京電力の福島第一原発事故後、初の衆院選も間近だ。東日本大震災が起きるまでは表舞台に出てこなかっ た母親たちは、放射能から子どもを守る活動を通して政治と関わるようになった。新しい仲間とつながり、社会を変える好機と選挙を位置付ける。 (柏崎智 子)
全国から集まった百人が、復興庁の担当者の言葉に耳を傾けた。二十八日、参院議員会館で開かれた「原発事故子ども・被災者支援法」の集会。「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」の伊藤恵美子さん(49)=東京都豊島区=もその一人だ。
「せっかくのいい法律が、選挙で国会議員が落ち着かない間に、官僚に骨抜きにされたら大変だから」
支援法は六月、超党派の議員立法で成立した。原発事故で被害を受けた子どもたちや住民に避難する権利を認め、医療費の減免や住宅確保、学習支援を保障する。具体策を決めるのはこれからだ。
「自分が国会に足を運ぶようになるとは全く思わなかった」。八歳から二十一歳まで四人の子どもの母親。子育てのNPO法人の一員だが、政治に関わったことはなかった。「世の中のメジャーにはならない立ち位置に慣れていたんです」
原発事故で、そうも言っていられなくなった。子どもを外遊びさせていいのか。母乳を与えてよいのか。母親たちの不安は増すばかりだった。
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参院復興特別委員会で法案審議を傍聴し、初めて政治の熱気を感じた。参院本会議への提出が決まると、傍聴人から拍手がわき起こり、議員と握手する人もいた。「立法府」の意味をかみしめた。
活動する中で、手をつなぐことのできる仲間を見つけることの大切さを知った。考えの違いで敵対しても、得られるものはない。選挙でも、同志になってくれる候補者は誰かを探し、その情報を広めることで仲間を増やしたい。「勝手連で動こうと思っています」
全文は母親ら「国動かしたい」