東電経営 政府は解体も視野に via 東京新聞

(抜粋)

事故の被害者への賠償と高放射線量地域の除染費用を合わせると、財源である交付国債発行額の五兆円を超える。汚染物質の中間貯蔵施設費も追加的に必要になる。加えて廃炉費用も積み立てている一兆円を上回り、一企業では対応しきれない。

 東電は二〇一三~一四年度の「再生への経営方針」にこう記した。財務窮状を理由にした結論が、東電を支援する原子力損害賠償支援機構法の枠組みを超えた費用の追加支援だ。自前処理に行き詰まった難題を、国に引き取らせようとする思惑さえ感じさせる。

 こうした事態は昨年、政府の「東電に関する経営・財務調査委員会」が、東電を債務超過ではなく資産超過と判断した段階で予想された。経営方針では 一兆円と見込んでいた廃炉費用をさらに巨額に上ると踏み込んだ。案の定である。当時、多くの専門家がメルトダウン事故の収束費を一兆円と想定したことに首 をかしげている。

 債務超過と判断すれば、兆円単位の巨額融資を受けている金融機関に債権放棄を要請しなければならない。法的整理も現実になる。

 それを避けたかったようだが、東電の延命にこだわり続ければ、支援要請が繰り返されかねず、償還のめどが立たない公的資金の投入額は増えるばかりだろう。

 賠償は自主避難者への対応も不可欠だ。福島県外の除染費用を含めれば、交付国債発行額五兆円の二倍、東電が期待する十兆円程度では収まらない。政府は国民へのツケ回しを断ち切るため、法的整理を検討すべきではないか。

 経営方針は自らの生き残りに重きを置くばかりで、放射能被害で故郷を追われた十六万人もの人たちへの目配りも伝わってこない。

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