九州電力鹿児島県川内原発の再稼働が迫る中、運転開始30年の原発に必要とされている高経年化(老朽化)審査の問題が新たに浮上した。川内原発1号機は、運転開始から31年以上経つが、高経年化審査が未了だ(8月3日現在)。認可なしに30年を超えた、はじめてのケースとなる。
この制度は、新規制基準の適合性審査とは別に、運転開始30年を経過する前に、電力事業者が技術評価および長期保守管理方針を策定。これらを盛り込んだ保安規定について、規制当局の認可を受けなければならないというもの。その後の保全計画に反映させる。
保安規定に組み込まれたのは原子力規制委員会になってからだが、30年までに審査を終えるルールは旧原子力安全・保安院時代には厳格に守られていた。これが規制委発足後、いきなり破られたのだ。
実際の危険も伴う。たとえば、九電が実施した主給水系配管の腐食減肉を考慮した耐震安全評価では、許容値1に対し0・991とぎりぎり。薄くなった配管が地震により破断し、大事故に至るおそれもある。
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「規制委は九電の評価を丸呑みにして、住民の安全を犠牲にするつもりか」と原発から30キロ圏内の鹿児島県いちき串木野市に住む高木章次さんは憤る。
市民団体らは、これが「高経年化対策実施ガイド」や原子炉等規制法の規定に違反していると指摘し、違法状態にある原子炉の再稼働は許されないと批判を強めている。
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