東京電力福島第1原発事故で出た福島県内の汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設問題は25日、佐藤雄平知事が県独自の財政支援策を提示し、大きく前進した。建設候補地を抱える大熊、双葉両町では今後、政府と地権者の交渉開始に向けて意見集約が進むとみられるが、政府と福島県が主導するスケジュールに、不信感を抱く住民もいる。
「政府や県は一方的に自分たちのシナリオを押しつけようとしている」。行政区すべてが候補地内に入っている双葉町郡山行政区の斉藤宗一区長(64)は、政府が27日に行う行政区長らを対象にした説明会で、政府が地権者と直接交渉を始めることに反対する考えを示した。斉藤区長は「政府から具体的な生活再建策は提示されていない。住民説明会の開催が必要だ」と話している。
大熊町の地権者の女性(49)は「中間貯蔵施設に対しては、家族間でも意見の違いがある。このまま政府と交渉しても、個人の力では負けてしまう」と不安を訴えた。双葉町議の一人は「県内の他の地域から『早く中間貯蔵施設を受け入れろ』という声が増え、両町の住民が置き去りにされたまま計画が進められている。施設の必要性は分かっているのに、住民らは批判の矢面に立たされ、孤立感を深めている」と指摘した。
一方、両町長の「受け入れ判断」が明示されないまま、政府と地権者の交渉に移行する可能性が出てきた。
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