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原発から出る核のごみの持ち込みは「受け入れがたい」と宣言した条例を持つ道のトップとして、当然の判断だろう。
問題は知事の意見がどれほどの効力を持つかである。
国は知事意見について「(選定の)要件とするものではない」とし、それをもって断念するとは考えにくい。途中で知事が交代し、賛否が変わる可能性もある。
寿都町と道だけでなく、風評被害を懸念する周辺自治体との溝も深まっている。多額の交付金で過疎や財政難に悩む自治体を釣るような国のやり方は、地域の分断を招くだけだ。
処分地選定のあり方を根本から考え直す必要がある。
選定手続きを定めた特定放射性廃棄物最終処分法は、3段階の調査が次に進む時と最終的な選定の際に、国は所在地の知事と市町村長の意見を聴き「十分に尊重しなければならない」と明記する。
ところが、政府が2000年に閣議決定した答弁書は、法律に「(知事らの)同意を得なければならない」とは書いていないとの理由で、知事らの意見に関係なく手続きを進める余地を残している。
国が自ら定めた法律の趣旨を恣意(しい)的にねじ曲げることは許されまい。知事の反対意見を重く受け止めるのが筋である。
寿都町の片岡春雄町長は最大20億円の交付金が支給される第1段階の文献調査だけでなく、最大70億円が加算される次の概要調査にも意欲を見せている。
寿都町議会はきのう、全員協議会を開いたが、賛否が分かれた。後志の漁協組合長会は風評被害を恐れて抗議文を出した。外国人観光客が多く訪れるニセコ地域の自治体にも危機感が広がる。
町長が「調査と処分場誘致は別の話」と主張しても、国に押し切られる懸念は消えない。地元の反発は不信感の表れといえる。町長は慎重に対応を考えるべきだ。
核のごみは原発の使用済み核燃料を再処理する過程で発生する。しかし、再処理を柱とする核燃料サイクルの破綻は明らかだ。
それなのに、国は原発の再稼働を推し進めようとしている。最終処分地の選定の以前に、原子力政策そのものの抜本的な見直しが求められる。