東京電力福島第一原子力発電所の事故で、宮城県などに避難した80人あまりが「ふるさとを奪われた」などとして、国と東京電力を訴えた集団訴訟で、仙台地方裁判所は東京電力に合わせて1億4400万円あまりの賠償を命じる判決を言い渡しました。
一方、国の責任は認めませんでした。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県双葉町などから宮城県などに避難した80人あまりは、ふるさとや地域のコミュニティーを奪われたなどとして国と東京電力を相手に裁判を起こし、事故前の津波対策や慰謝料の額などをめぐって6年にわたって裁判を続けてきました。
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原告の弁護団によりますと、全国で起こされた福島第一原発の事故をめぐる集団訴訟で、1審が国の責任を認めたのは7件、認めなかったのは6件となりました。
原告団の石井優代表は、「東電については非常に良い判決だが、全く国に責任はないのか。国のぶんの責任まで、東電に押しつけたと感じました。これからも戦いの軸をぶれず、持ち続けていきたい」と話しました。
原告の1人で福島県富岡町から避難し、今も仙台市で生活している猪狩友衛さん(80)は、「慰謝料も含めて裁判所はよく考えてくれたと思いますが、国に責任がないのはおかしいと思います。ふるさとに帰れないのは悔しいです。国は原子力発電を続けるならば、私たちみたいな人を二度と生み出さないでほしい」と話していました。
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