東京電力福島第1原発事故の被害者を対象とした裁判外紛争解決手続き(ADR)の申し立てが2019年は1209件あり、前年から88件(7.9%)増えた。14年以降は件数が毎年減少していたが増加に転じた。
内訳は個人1034件(85.5%)、法人175件(14.5%)。原発事故から8年を経てもなお36.2%に当たる438件が初回申し立てだった。2回目以上の申し立ては771件(63.8%)と前年を106件上回った。
原子力損害賠償紛争解決センターは、100人以上がまとまって申し立てた集団ADRが不調に終わった後、改めて個別に申し立てた被害者が増えたことなどを理由に挙げる。
集団ADRでは、仲介委員による和解案を東電が拒み、協議が打ち切られるケースが近年急増。17年までゼロだったが、18~19年は計21件、約2万人に上る。
福島原発訴訟弁護団の鈴木雅貴弁護士は、申立件数の増加について「被害の長期化が数値に表れた」と指摘。賠償請求権が21年3月を境に順次時効を迎えることにも触れ「東電は時効を主張しない姿勢を繰り返し明示すべきだ」と語った。
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