ウクライナの首都キエフは、同国のチェルノブイリ原発立入禁止区域で今月発生した森林火災が原因で、世界で最も大気汚染がひどい都市となった。この事実は、大気の状態データをリアルタイムで公開している「エア・ビジュアル」のサイトで示されている。
日本時間の16日6:30時点でキエフの大気汚染指数は196、キエフの一部の地区では343に達している。14時の段階では、キエフの指数は169にまで低下した。通常時では、この街の指数は150を超えないという。
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ウクライナのオンライン紙「ストラナ.ウア」によると、キエフの大気汚染の直接の原因は、チェルノブイリ原発の立入禁止区域の森林火災。火災は一旦鎮火したものの、砂嵐によって16日に再び発生した。スモッグは立ち入り禁止区域から風に乗ってキエフに運ばれた。
キエフ当局は、住民に窓を開けず、外出せず、液体を多めに飲み、室内を加湿するよう呼びかけた。住民らは強い焦げ臭や煙で黒く汚れるなどの苦情を訴えている。
チェルノブイリの森林火災
先に、チェルノブイリ原発禁止区域で森林火災が発生し、約2週間にわたって消火活動が続けられ、作業は難航していたが、14日に降った雨により、森林火災の延焼が食い止められたと報じられた。火の手はプリピャチ川の左岸に燃え広がり、原発と放射性廃棄物の貯蔵施設に迫った。この火災で原発近くの多くの旧村落が燃え、『赤い森』(原発から10キロ以内の汚染された森)が失われた。非公式の見解では、火災の原因は数カ所で放たれた放火。なお、火災は砂嵐によって16日に再び発生した。