今も収束していない福島原発事故~再爆発防止の応急措置が続く(前)via Net-IB News

元京都大学原子炉実験所助教 小出 裕章 氏

もはや過去の出来事のように言われている福島第1原発事故。しかし今でも収束しておらず、これ以上爆発が起こることを防ぐ「応急措置」が続いている。今、福島原発では何が起こっているのか。断片的にしか情報が伝えられていない放射能汚染の実態とは。これから日本はどうしていくべきなのか。福島原発事故の全貌と今後の展望を、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏に聞いた。

水で冷やし続けてかろうじてしのぐ福島原発

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原子力発電を止めても原子炉を水で冷やし続けなければ、放射性残留物は発熱し続けます。原発が発電のためにつくる約300万kWの熱のうち約21万kWは放射性残留物が出す熱から発電されているほど、熱は強力なのですね。ストーブの熱を1kWとすると、ストーブ約21万台分といえばわかりやすいでしょうか。

 震災が起こるまでの原発は、電力ポンプを使って原子炉を水で冷やし、熱を制御していました。しかし、地震と津波で原発すべてが停電しました。非常時に電気を届けるはずだった外部送電線も地震で壊れ、電気が届きませんでした。原発は電気をつくる設備だからと、非常用発電機も30分以上停電することはないという想定で準備されていたのです。

 停電が続いたため、電力ポンプで水を回して原子炉を冷やすことができなくなりました。放射性残留物から発生した熱で原子炉圧力容器の核燃料が約2,800℃を超えて溶け、鋼鉄製の原子炉圧力容器も1,400~1,500℃で溶けてメルトダウンしました。

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