(独)国立病院機構 北海道がんセンター 名誉院長
「市民のためのがん治療の会」顧問 西尾正道
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福島原発事故から9年を迎えたが、事故直後に出された「原子力緊急事態宣言」下のままである。 そこで本稿では、現在までの福島事故後の規制値の変更(緩和)や、棄民政策とも言える出鱈目な対応についてまとめ、さらに汚染水の海洋放出を強行しようとしていることからトリチウムの危険性についても報告する。 コロナウイルス感染では数日で発症することから真剣になるが、低線量の健康被害はすぐには症状を呈さず数年単位の問題となるため問題意識が希薄となるが、放痴国家の嘘と隠蔽に科学的な知識で対応して頂きたいと思う。
1.棄民政策を続ける原子力ムラの事故後の対応
政府・行政・東電は御用学者・インチキ有識者とスクラムを組んでICRPのフェイクサイエンを基に無責任な対応をしているが、醜いことにその手法も偽装と隠蔽と誤魔化しを織り交ぜて国民を欺いています。 事故後9年を経過し、現在まで行われてきた被曝線量に関する規制値の緩和をまとめ資料1に示すが、原発事故後の政府・行政の手法は常に後出しジャンケン手法であり、基本的な姿勢は【調べない】・【知らせない】・【助けない】です。
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この異常に高い規制値を現在の放射線管理区域の規制値と比較したものが資料2である。
現在騒がれているコロナウイルスの感染ならば数日で発症する人もいるので関心を持ち対応に迫られるが、 年間20mSv程度以下の環境下での健康被害は晩発性に生じることから、放射線が原因と断定することは容易ではなく、因果関係を証明することは困難なことも多いため、うやむやにされてしまうのである。
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現在でも福島県の居住地域は年間20mSv以下としているが、資料3にチェルノブイリ事故後の対応との比較を示します。
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またさらにデタラメなことに、被曝線量を測定する空間線量を測定し表示するモニタリングポストは機器の内部操作により実際よりは40~50%低減させて表示しています。 この数値が新聞に掲載される線量となっているため、健康被害が将来出現しても線量との相関も分析できない状態が続いています。
資料4にモニタリングポストの問題のまとめを示す。
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9年間の政府・行政の事故後の一連の棄民政策とも言える対応の主な問題を資料5にまとめ示します。
事故直後の対応としては情報の非公開や隠蔽だけでなく、被曝線量の測定放棄と規制値の大幅緩和が特徴である。
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原発事故後は規制値を緩和し、Cs-137の体内汚染を少なくする薬剤の配布も政府は禁止した。 事故発生の数年前に放医研の治験により、薬事法を通して薬剤として認可されていたラディオガルダーゼⓇという経口薬があった。 この薬剤については資料6に示すが、腸管でCs-137をイオン交換して便として体外へ排泄させ約4割ほど除染できる薬剤である。
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一般的なガラスバッジはα線やβ線の内部被曝は測れず、全方位からの放射線を正確に積算する機器ではなく、 主に正面からの放射線を測定する構造であり、また検出下限も大きいことから実際の被曝線量の5~10%の数値となる。 資料7にガラスバッジと空間線量率から算出した実効線量との関係を示すが、大幅な過小評価となるのです。
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