福島県の都市部、除染除去土の搬出急ピッチ via 日本経済新聞

福島市、郡山市など福島県の都市部から、東京電力福島第1原子力発電所事故の除染で発生した除去土を運び出す作業が急ピッチで進んでいる。事故が起きた原発の立地する大熊町、双葉町に中間貯蔵施設の整備が進み、国や県は2021年度末までの搬出完了を目指す方針。都市部の原発災害への対応はひとつの節目を迎える一方、難題が原発の立地自治体に引き継がれる。

「庭の下の除去土はずっと心の重荷になっていた。運び出してもらいほっとした」。50代の福島市の会社員はこう語る。5年以上庭の下に埋まっていたのは合成樹脂製のコンテナバッグ3つ、約3トンの除去土だ。

除染によって発生した土を袋に入れて庭に埋めたり、シートをかけて積んでおいたりする方法を「現場保管」と呼ぶ。ピークの16年末には県内で14万9330カ所に達し大半が都市部にある。

震災直後は放射線に関する情報が錯綜(さくそう)し、市民に不安が広がった。放射線量を下げる切り札となったのが除染だ。屋根や壁は足場を組み、ぞうきんやブラシで土やホコリを取り除き、庭の土は表面を数センチはぎ取った。

(略)

環境省のまとめでは土の除去を中心にした除染によって、住宅地の線量は平均60%低下した。そして都市部には空き地が少ないうえ、運び出す先もないため大半が現場保管になった。

そんな現場保管の減少が進み始めた。今年3月末にはピーク比42%減の約8万6千カ所になり、「21年度内の解消を目指す」(県の除染対策課)計画という。

背景には中間貯蔵施設のため確保された用地が15年度末の22ヘクタールから今年3月末には1114ヘクタール(全体計画の約70%)まで拡大したことがある。国が自治体や土地所有者を説得し、一つ一つの土地を買収したり、賃借したりした結果だ。

だが、用地は原発の周辺にあり現在も国の指示で人が住めない地域だ。避難指示の基準となる線量は都市部が除染を実施した水準に比べて20倍と高い。
国は用地の取得にあたり「30年以内に福島県外で最終処分を完了する」ことを約束し、特別法にも明記した。しかし、その場所や方法のメドはまったくたっていない。

また避難指示が出た区域では復興拠点となる一部地域を除き、除染が手つかずの場所が多く残る。原発事故から8年余りたち、除染にかかった費用は約3兆円に及ぶ。そして場所を変えながら難題は今後も継続する。

全文は福島県の都市部、除染除去土の搬出急ピッチ

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