続・福島原発事故後、先天性心疾患の手術件数急増 世界が認める研究成果が得られたワケ via Yahoo!News

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国民皆保険制度が貢献

今回は、村瀬香氏のお話をきいて感じたこと、特に、研究成果に貢献した要素について書かせていただけたらと思います。その一つに、日本の国民皆保険制度があります。

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しかし、今回、村瀬氏の論文は国際的研究機関「アメリカ心臓協会」に承認されました。論文のおおもとになったのは、日本胸部外科学会が日本全国の病院から集めている先天性心疾患に関する全ての手術データですが、そのデータはほぼ母集団(統計で、調査や観察の対象とする集団全体)をカバーしており、母集団がカバーされているのは日本が国民皆保険制度を採用していることに起因すると村瀬氏は言及されました。

「日本では、先天性奇形の手術を受ける場合、国民皆保険により、国の手厚い対応が受けられます。私費で手術を受ける人はほとんどいないので、ほぼ母集団のデータが取れたことは研究に大きく貢献しました。一方、貧富の差があり、国民皆保険制度がないアメリカでは、お金がなければ手術を受けられない状況があります。その意味では、この研究成果は、日本であるからこそ得られたのだと思います」

発生率ではなく手術件数に着目

また、村瀬氏が、先天性奇形の発生率ではなく、手術件数に着目したことも重要です。

日本では、アンケート調査結果をもとに先天性奇形の発生率を研究した論文は出されていますが、それは、“一般的な発生率と変わりがない”という結果を示しているといいます。しかし、村瀬氏は、この結果に疑問を投げかけました。
「一般的な発生率と変わりがないといっても、地球上にはもともと発生率が高い地域も存在しますし、全世界の発生率と比較することには限界があると思うのです。同じ地域で、事故の前後に発生率に変化があるかどうかをみないと意味がありません。しかし、その変化を見ることはできません。先天性奇形の発生率を研究した論文のもとになっているアンケート調査結果は、事故後に取られたもので、事故前に取られたアンケート調査結果がないからです。そのため、事故前と事故後の発生率の比較ができないのです」

また、アンケート調査自体にも疑問があるといいます。

「アンケートは任意返答です。我が子の先天性奇形の手術を急いでいる時に、母親が医師に“アンケートに答えなくても大丈夫だ”と言われたら、答えるでしょうか? 中には、答えなかった母親もいるかもしれません。そのため、アンケート結果から何かを導き出すことは難しいと思います。しかし、学会が出している手術件数のデータは、医局の目があるため操作ができませんし、手術が行われたらデータとして必ず上がってくるものなのです」

つまり、操作されていない正確なデータが得られたことも、村瀬氏の研究成果に貢献したと言えるでしょう。

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また、村瀬氏は、原発事故前から、東北でオオタカの研究観察をしていましたが、原発事故後、オオタカの繁殖成功率の減少を発見し、オオタカの雛の動きに変化を見つけたことも、今回の複雑心奇形の研究に繋がりました。原発事故前からの長年に渡る研究努力が、今回の研究成果に大きく貢献したことは言うまでもありません。

政府や関係機関は、村瀬氏の研究成果をどのように受け止めるのでしょうか? 研究成果を反映するような政策を生み出すのでしょうか? 私たちは、今後の動きに注目していく必要があるのではないでしょうか?

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