ジャーナリストの田原総一朗氏は、昨夏閣議決定したエネルギー基本計画を「無責任な計画」という。[…]
フィンランドは原発が稼働していて、使用済みの核燃料を処理するために、オンカロという設備が設けられている。
オンカロとは、安定している地盤を約500メートル掘って、そこに使用済みの核燃料を運び込むことができる設備だ。ただし、まだ実際には使用されていない。
小泉氏はオンカロの関係者に、「オンカロに使用済みの核燃料を入れて、それが無害化するのにどのくらいかかるのか」と問うた。
すると、無害化するのに10万年、という答えが返ってきた。
それを聞いて、小泉氏は原発をなくすべきだ、と決断したのである。
ところが、日本にはそのオンカロもなく、オンカロをつくる計画も展望もないのである。
私は歴代経産相に確かめたのだが、いずれも、その点では返事に窮した。
そして、使用済み核燃料はすでに1万8千トンもたまっているのだ。それでいて、政府は原発を重要なエネルギーとして再稼働を進めている。
しかも、18年7月に政府が閣議決定したエネルギー基本計画によれば、何と30年に原発が30基ほど稼働することになっている。
たとえ、現在停止している原発をすべて再稼働させたとしても、20基程度にしかならないはずである。
ということは、原発を10基近く新設するつもりなのか。
東芝、三菱重工、日立の3社は、国内で新設の見込みがない、とあきらめて海外での建設を計画していたのである。
実は自民党の少なくない幹部たちに、原発新設の可能性はあるのか、と問うた。誰もが、そんな可能性はない、と答えた。
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そんなことは、東電は百もわかっているはずなのだが。