宮城県議会の本会議で、東北電力女川原発2号機の再稼働の是非を問う県民投票条例案が採決され、自民・公明両党などの反対多数で否決されました。
これにより、県民投票は実施されないことになりました。
女川原発2号機をめぐっては、市民グループが再稼働の是非を問う県民投票を求めて、地方自治法で必要とされる有権者数のおよそ3倍にあたる11万人あまりの署名を集めて、県民投票条例案の直接請求を行い、県議会で審議が続けられてきました。
15日は本会議が開かれ、賛成、反対それぞれの立場から討論が行われました。
このうち、旧民進党系の議員は、賛成の立場から、「県民投票は議会を否定するものではなく、間接民主制を補完する最良の選択だ」と述べました。
これに対し、自民党の議員は、反対の立場から、「原発の再稼働に賛成か反対かの二者択一では、県民のさまざまな思いを受け止めきれない」と述べました。
そして、採決の結果、自民・公明両党などの反対多数で否決されました。
原発ゼロ社会の実現が持論の自民党の1人は、採決前に退席しました。
東日本大震災のあと、原発が立地する東北の被災地で初めて、原発再稼働の是非を問う住民投票の条例案が提出されましたが、県民投票は実施されないことになりました。
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自民党の藤倉知格議員は採決を退席しました。その理由について「賛成、反対の二択では県民の多様な本音をくみ取ることは不可能で、三択論を提案したが、議論のテーマにすらならず残念だ。賛成、反対の立場を取ることができず、断腸の思いだったが、信念を貫き通すため、退席した」と述べました。
旧民進党系会派の藤原範典会長は、「11万を超える人の思いを無駄にしないよう努力したが、実現できず深く反省している。原発の再稼働は生活に直結する課題であり、多くの人が不安を感じているということを議会が真摯に受け止めることができず、残念だ」と述べました。
原発が立地する女川町で話を聞きました。
60代の女性は、「県民投票をした方がいいかはなんとも言えない。親族が原発関係で働いているので、県民投票があれば再稼働に賛成するが、安全性を心配する人の気持ちもわかるので複雑だ」と話していました。
30代の男性は、「与党の議員が反対に回ったこともまた民意だ。村井知事には再稼働に向けて動いてもらいたい」と話していました。
仙台市でも話を聞きました。
青葉区の30代の男性は、「県民投票をする機会があった方が良かった。議会だけで判断するよりも、直接住民の意見を聞いてほしかった」と話していました。
また、青葉区の70代女性は、「沖縄県名護市の辺野古沖の埋め立ての例を見ても、住民投票をしたとしても政治の動きは変わらないので、やっても無駄だと思う」と話していました。
青葉区の50代女性は、「県民投票をしないという判断をしたのであれば、議員の方々には、今後、県民の意見をしっかり聞いて議会に反映するように、きちんと仕事をしてもらいたい」と話していました。