福島第1原発、軽装備でOKも… 見通せぬ廃炉 政策 現場を歩く via 日本経済新聞

(竹内宏介)東日本大震災から7年半。東京電力福島第1原子力発電所では廃炉に向けた作業が続く。敷地内は軽装備で移動できる場所も増えてきたとはいえ、まだまだ先行きは見通せない。記者が現地を取材した。

■人けのないガソリンスタンド

10月10日、都内から電車を乗り継いで約3時間。集合場所の最寄り駅、JR常磐線富岡駅(福島県富岡町)に到着した。旧駅舎は津波で流失し、昨年10月に新しい駅舎への運転が再開したばかり。出口付近のモニターには「空間線量率0.064マイクロシーベルト毎時」の表示。健康に影響はないレベルだが緊張した。

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最初に向かったのは構内に入るための管理施設だ。福島第1原発は事前登録がないと入れないのはもちろん、持ち込み可能なのは筆記具やレコーダーのみ。スマートフォン(スマホ)やパソコンの持ち込みは禁止だ。カメラも取材団全体で1台に制限された。運転免許証で本人確認を済ませ、金属探知機や静脈チェックを通過し、ようやく構内へ入ることができた。

現場作業員とすれ違いながら奥へと進むと、この日の「装備品」が配られた。まず防護服。身構えていると、紙でできた簡易のベストを渡された。このほか、スマホぐらいの大きさの警報付き線量計(APD)が配られた。

総じてほぼ私服の状態だ。一見、心もとない装備だったが「1~3号機を見渡す高台はこれで十分」と説明された。ただこの日、磯崎仁彦経済産業副大臣が高台以外も見て回るルートを視察する予定で、長靴や軍手のほか、ヘルメットやマスクも装着。靴下は2重ばきになったが、それでも軽装備といえる。

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1~3号機には近づけず、次に車で移動した先は海抜35メートルの高台だ。100メートル弱先に、震災で大きな被害にあった1~3号機が俯瞰(ふかん)できた。水素爆発で建屋が吹き飛んだ1号機は鉄骨がむきだしで、がれきが残っていた。3号機は屋上にかまぼこ状の屋根カバーが設置されていて、燃料取り出しに向けた準備段階に入っているという。

「ピー!」――。説明を受けながら見ている途中、胸ポケットに入っていた線量機が鳴った。聞くと、数値が20マイクロシーベルト増えるごとに鳴る仕様になっているという。取材時に配られた注意事項には、取材時の被曝上限は100マイクロシーベルトとしてある。

東京―ニューヨーク間を飛行機で移動した際は片道100マイクロシーベルト、歯のレントゲンは10マイクロシーベルト、胸部X線は60マイクロシーベルトとされる。1~3号機のまわりは最も高いところで約300マイクロシーベルト毎時あるため、この装備では取材できないそうだ。

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■増え続けるタンク

帰り際は汚染水の貯蔵タンク群に立ち寄った。構内には全部で900基、106万トンある。最近は浄化後の水にトリチウム以外で排出基準を超える放射性物質が含まれていた問題が明らかになったばかり。タンクは増え続け、満杯になる日も近いが、汚染水を処理するめどは立っていない。

管理施設に戻って線量計を確認すると、積算の被曝量は30マイクロシーベルトだった。再度ゲートを通り、隣接する新事務本館に移ると、この日取材団を代表して撮影した自分のカメラに、東電社員によるチェックが入った。

1~3号機の様子や視察する磯崎副大臣の写真中心に約190枚撮影したが、チェックの結果、約50枚が削除された。理由はテロリスト対策。「保護シャッターやフェンス、監視カメラが映り込んでいるのはNG」という。撮影時にも「ここがNGです」と説明があったため気をつけて撮ったが、わずかでも入り込むとNGという厳しいチェックだった。

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