肝心なときに脱原発を書けない朝日と毎日 産経の原発肯定はわかりやすいが… via President Online

日本に原発は必要なのか。新聞によって主張は異なる。読売、産経、日経は「原発は必要」という立場だが、朝日と毎日は「脱原発」を主張している。今年11月、ドイツで地球温暖化対策の国際会議「COP23」が開かれ、各紙が社説で取り上げた。だが、朝日と毎日の主張は弱い。脱原発を進めれば、現状では温室効果ガスが増えてしまうからだ。こういうときこそ、脱原発を強く主張すべきではないのか――。

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地球の温暖化対策を話し合うため、ドイツのボンで開かれていた「COP23」(第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が11月18日(現地時間)、閉幕した。これにあわせて新聞各紙の社説も温暖化対策について論じている。だが、各紙の書きぶりにはかなり違いがある。読み解くポイントは「原発への賛否」だ。

日本の温暖化対策を憂える産経

11月21日付の産経新聞の社説は「COP23と日本」というタイトルを付け、「脱原発では気温下がらぬ」(見出し)と脱原発をストレートに否定する論を展開していた。産経お得意の主張である。

その冒頭で「地球温暖化対策は加速傾向を強めている。日本はこの潮流に対応できるのだろうか」と書き、このままでは日本は温暖化対策の「加速」の波に乗れないと憂える。

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しかし福島原発の事故は、世界最大級の原発事故だ。死者こそ出さなかったが、福島県ではピーク時に約16万人が避難を余儀なくされた。福島県によると2017年10月現在も約5万4000人が避難生活を送っている。今後、原発自体の処理をどうしていくかも難問である。

それにもかかわらず、産経社説は最後にこんな主張をして筆を置く。

「各国とも個々の状況に即した環境とエネルギー対策の両立を図っている。日本の現況では、原子力の活用による実効性に裏打ちされた削減策の構築が急務である」

地球温暖化を防ぐには原発しかない。産経社説は初めから終わりまで「原子力」ありきだ。そこに産経社説の根源的問題がある。

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だが考えてみると、日経は産業界の論理で社説を展開することが多い。ベストミックスに「原子力」を含めているところなど、日経らしい。大企業の多くは安定した電力が得られる原発に賛成だからだ。

日経社説は「COP23では、日本が国内外で石炭火力発電所の建設計画を進めていることに、戸惑いと非難の声があがった」とも指摘し、「日本は原発の再稼働が限られ、電力を石炭火力で補わざるを得ない事情はある。長い目で脱石炭を進めるにはどんな方法があるかも検討すべきだ」とも訴える。

産経社説に比べれば、静かな原発擁護ではある。

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朝日社説は「世界の年間平均気温は昨年まで3年続けて観測史上最高を更新し、海面の上昇も加速している。猛烈な台風やハリケーンの発生など極端な気象現象も相次ぎ……」と温暖化による被害の現状を書き、こう指摘する。

「にもかかわらず、トランプ政権は逆行をやめない」

さらに「国際NGOが『最悪の中の最悪』として米国に『特別化石賞』を贈るなど、会議の参加者は反発した。中国に次ぐ世界2位の二酸化炭素排出国である米国の無責任な姿勢は、『先進国が責任を果たしていない』という途上国の不満を噴出させた」とも書く。

後半で朝日社説は日本も批判する。

「(日本は)ガスの排出削減に消極的な国だとみられている。長期の削減戦略をいまだに示していないうえ、途上国への石炭火力発電の輸出を続けようとしているからだ」
「米政権の動きを追うばかりでは孤立しかねない。日本の政府と産業界は自覚してほしい」

革新派を自称する朝日らしい主張ではあるが、現実的路線からは遠い。

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毎日社説によれば、日本はまさに石炭火力王国である。

最後に毎日社説は「石炭利用の是非を含め、温暖化対策には多くの利害関係が伴う。国家に限らず多様な主体が知恵を出しあい、取り組まねばならない」と書く。

産経や朝日に比べると、毎日社説は激しさがなく、わりと温厚な書きぶりだ。

それでも毎日社説は「脱石炭の世界の潮流」をきちんと書き、「読み違えれば、国際協調に反すると見なされかねない」と指摘するところなど、環境問題に力を入れている毎日らしさが伝わってくる。

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自然エネルギー開発に愚直に取り組め

これは沙鴎一歩の持論だが、私たち人類は原発や火力発電に頼り切って、自然エネルギーの技術開発を怠ってきた。そのツケに直面しているのだ。しかし、まだ遅くはない。地球温暖化を回避でき、安定的な出力が得られ、かつ安全なエネルギー源の開発に力を注ぐべきだ。

自然エネルギーにはまだまだ課題が多い。たとえば自然エネルギーは夜間や風がないときには発電ができないなど出力が不安定だ。このため電力を蓄える仕組みが必要になる。ところが、まだ高性能で廉価な蓄電池がない。電力を蓄える仕組みとしては、余った電気で水をくみ上げ、ピーク時に山から落として電気をつくる「揚水発電」もある。

今後、自然エネルギーの開発に愚直に取り組んでいくしか私たちの未来はない。原発があるからといって、原発頼みの姿勢を続けていれば、いずれ手遅れになる。

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