福島思い「何かしないと」 「自主避難」基金へ支援の医師・山田さんvia東京新聞

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「福島で多くの親が子どもの健康を心配しているのに、医師に相手にされず困っている」。原発事故から二カ月後の一一年五月、ボランティアで都内から福島に通う女性から山田さんに電話があった。

 山田さんは当時、原発の危険性を見抜けなかった自分を責め「何かしなくては」と思っていたという。その後、約四年にわたり、福島県内や全国の避難先で無料健康相談会を開いてきた。現在も都内で仲間と続けている。

 支援に奔走する中、「国や東京電力が何もせずにのほほんとしている」と強い憤りを覚える一方、「何もできなかった」とむなしさも感じた。そんな中、自主避難者の住宅無償提供が三月末で打ち切られ、多くの人が困窮する実態を知り、寄付を思い立った。

 岐阜県の実家は江戸時代から続く医者。山田さんは十代目だが「東京への憧れ」もあって実家は継がなかった。東大医学部卒業後は、大学近くの「今で言うホームレスの人たちを中心に診る」診療所へ。差別を受けたりお金に困ったりする患者と向き合う毎日に「社会的弱者の人たちを診ることが自分に合っている」と強く感じた。

 一九七〇年には現在の「八王子中央診療所」の所長に就任し、半世紀近く地域医療を支えてきた。同年ごろからは森永ヒ素ミルク事件の被害者の健康相談も始め、今も続ける。家庭ではパートナーで医師の梅村浄(きよら)さん(71)との間に三人の子がいる。長女で障害がある梅村涼(りょう)さん(43)が小さいころには、浄さんと障害児の小学校普通学級就学運動にも取り組んだ。

 十五日、寄付金を基に設立された自主避難者支援基金の抽選会場に足を運んだ。涙を浮かべ感謝する母親たちの姿に「孤立無援で本当に大変なんだ」と実感した。「原発避難者のいじめ問題に象徴されるように、大人が自主避難の人たちのことを正しく理解していない。各地でしっかりと向き合い、何ができるのか考えてほしい」

 

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