東日本大震災での東京電力福島第1原発事故後、原発立地自治体の首長選が注目を集めている。選挙結果が再稼働などに影響を与えるからだ。
あす投開票が行われる青森県大間町長選には現職と3新人が立候補し、舌戦を展開している。同町では電源開発(Jパワー)が大間原発の建設を進める。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を用いるプルサーマル方式で、しかも全炉心で使う世界初の「フルMOX」と、注目度の高い原発だ。
選挙戦は、原発推進を強調する現職、「脱依存」を訴えつつ容認姿勢の元町職員の争いが軸。残りの2人は反原発の立場で、このうち1人は元函館市議。海峡を挟んで対岸にある同市は、大間原発の建設差し止めを求め訴訟を起こしている。
マグロで知られる町だが、漁業以外の産業に乏しいことから原発を誘致。町は電源立地地域対策交付金など多額の原発関連歳入により、公共施設整備を充実させてきた。
ただ、福島事故の影響で一時工事が中断。現在も原子力規制委員会の新規制基準適合性審査が長引き、本体工事が進んでいない。交付金も減少。このため、このまま原発に依存すべきかどうか住民の間に揺らぎも見られる。
このような中、過去3回無投票だった町長選が16年ぶりの選挙戦となり、選択肢が与えられたことに「原発に対する考えをぶつけることができる」という声が聞かれる。
原発のない本県と異なり、青森県は下北半島に原子力関連施設が多く立地。過去には関係自治体で激しい選挙戦も展開された。
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