【「全ての人に避難の権利ある」】
「避難者の住まいを奪うな!」
日曜日午後の福島市内に、原発事故で〝自主避難〟した人々のシュプレヒコールが響いた。
パンクバンド「切腹ピストルズ」の和楽器やコールに導かれるように、参加した〝自主避難者〟たちは拳を振り上げた。[…]
デモ行進に先立ち、県教育会館で開かれた集会で、中手聖一さん(福島市から北海道)は話した。
福島市渡利地区で暮らしていた中手さんには当時、小学3年生と保育園児の2人の息子がいた。2011年3月末には妻子を西日本に逃がしたが「当然、福島市にも避難指示が出るだろうと思っていた。いや、出ないとおかしいと考えていた。しかし、政府が住民を避難させないからやむを得ず避難した。そして、年20mSvで線引きをされ〝自主避難者〟と呼ばれるようになった」と怒りを込めて振り返る。「2011年の6月には、皆で〝自主避難〟をしようと呼びかける運動を展開した。多くの人が泣きながら相談の電話をかけてきた」。[…]
【自民県議の一喝「勝手に逃げた」】
松本徳子さん(郡山市から神奈川県)は11月28日から5日間、冷たい風雨の中、午前7時すぎから福島県庁前に仲間と共に立った。出勤してくる県庁職員に「住宅の無償提供延長を」、「内堀知事は避難者の声をきけ」などと訴えた。生活拠点課などの県庁職員から〝監視〟や〝抵抗〟を受けながら庁舎内で内堀雅雄知事宛ての直訴状を代読した。今月6日から始まる福島県議会に打ち切り撤回を求める請願を提出するため会派めぐりをした時には、第一会派「自由民主党福島県議会議員会」(58人中30人)の幹部から「勝手に逃げた者が何を言うか。請願には賛成出来ない」、「名刺を渡すのももったいない」など酷い仕打ちを受けたという。
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【米沢市長の要望も拒否】
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11月30日には、山形県米沢市の中川勝市長が住宅の無償提供延長を求めて福島県を訪れたが、内堀知事は対応せず、避難地域復興局の成田良洋局長が打ち切りに「理解」を求めた。8月の三県知事会議では山形県の吉村美栄子知事が「特段の配慮」を内堀知事に求めたが、回答すら無かった。避難者を受け入れている自治体の首長が頭を下げても、打ち切りを強行しようとしている。
福島市から米沢市に避難している武田徹さんは「福島県知事の態度は失礼千万だ」と怒る。「自ら福島県に出向いて住宅の無償提供延長を求めた首長は、全国にも中川市長しかいない。内堀知事が全国を行脚して首長に礼を言い、避難者を励ますのが本来の姿だ」と語った。山形県内の複数の議会から打ち切り反対の意見書が福島県に提出されているが、これも無視しようとしている。
内堀知事が再三、口にしている避難者への戸別訪問に関しては、避難の協同センター事務局長の瀬戸大作さんが集会で「東京都住宅供給公社の担当者が、避難者に対し『都営住宅は避難者の住宅では無い。甘えるんじゃない。民間賃貸住宅でも借りれば良いんだ。退去しなければ告訴するぞ』などと暴力的な訪問をしている」と実態報告した。避難者との直接対話を徹底して避ける内堀知事は、このような〝避難者いじめ〟はご存じあるまい。だからこそ、避難者たちは冷たい視線を浴びながらデモ行進をしなければならないのだ。
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