[…]
福島では駅前や商店街などに「ようこそ!福島へ 福が満開、福のしま。」と書かれたのぼりが何本も立ち、JR福島駅で降りると「元気になった福島に来ていただき、ありがとうございます!」といったアナウンスが迎えてくれる。しかし、いまだに10万人近くが放射能を恐れ、県内外に避難している。
福島県の浜通り。原発禍の街を縦断する国道6号を車で走ると、道路沿いに、
「事故多発 牛と衝突」
「事故多発 猪と衝突」
と書かれた看板が立てられている。
[…]
自分の畑にワナを仕掛け、イノシシを捕獲する知人が語る。「原発事故の前なら、イノシシはボタン鍋で食えたけどね。今は放射能だらけで、1キロ当たり2万ベクレルもあって食えたもんじゃない(基準値は1キロ当たり100ベクレル)。あと、サルは、銃口を向けると『勘弁してください』と、言葉こそ発しないものの、拝むマネをするから、猟友会の連中は、『なかなか撃てないんだよな』と言ってたよ」
南相馬市の町なかでも、子連れのイノシシやキツネが頻繁に出没している。
岡邦行(ルポライター)
もっと読む。