福島第一原発事故で「メルトダウン」を把握しながら、“官邸の圧力”で東京電力は公表しなかったことが明らかとなった。経営陣は早々に謝罪したが、株主総会で追及を受けた。隠蔽工作を主導した正体は何だったのか。その深層に迫る
この日も会場付近は例年どおり垂れ幕を掲げた反原発派が声を上げていた。だが今年は、「日本製原発は安全です」というボードを持った、いわば「原発推進派」も多数陣取り、反原発派にヤジを飛ばす光景が展開された。そしてこの様相は会場内にまで持ち込まれた。
[…]
反原発派にとって隠蔽の事実は格好の攻撃材料だが、この材料を活用したのはむしろ推進派だった。「隠蔽問題は民主党、現・民進党の圧力によるもの。民進党の支持母体は連合だから、東電の組合は連合を脱退すべきだ」「当社に甚大な被害を与えた“プロ市民”あがりの(当時の首相)菅直人を提訴すべきだ」などと追及したのだ。
しかし、経営陣はまるで質問が聞こえなかったかのように、官邸に関わる回答を避け続けた。いったい「炉心溶融」の隠蔽は東電の単独犯なのか、官邸あるいはその他との共犯なのか。そのヒントは、すでに公表された資料から、まさに「推認」されるのだ。
もっと読む。