作業停止の福島第一 休業補償 払わず混乱 via東京新聞

 東京電力福島第一原発で死傷事故が相次ぎ、一~二月に二週間以上も作業が止まった。この間の作業員への休業補償について東電は当初、待機分などは支払わないとしていたが、不満を募らせた作業員が労働基準監督署に駆け込む事態も発生。東電は一転して元請けの請求に基づき、待機分の賃金も支払うことになった。 (片山夏子)
 東電は原発内の全ての現場で安全性を点検する必要があるとして、一月二十日から二週間あまり、原子炉への注水などを除く全ての作業をストップした。
 再発防止のために必要な点検とはいえ、今回は事故を起こした会社以外の作業も停止した。作業がいつ再開されるか分からないため、作業員らは宿舎や自宅で待機となり、実質的に拘束されていた。
 作業員らは、待機分の休業補償を払うよう雇用会社に要請。元請け各社は下請け作業員らの休業補償分を計算し、東電に支払いを求めた。だが、東電は本紙の取材に「現場の安全点検や事故の原因や対策を話し合う会議への出席に関しては支払うが、他は支払わない」などと説明し、自宅待機分などの休みは対象外との姿勢を示していた。
 労働基準法上は、雇用会社が休業させた場合、原則として賃金の六割を補償しなくてはならない。しかし今回は東電による休業。東電からの支払いがなければ、元請けや下請けなど雇用会社が負担して支払うしかない。
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<福島第一原発での死傷事故> 昨年3月、掘削作業中の作業員が崩れた土砂に埋まり死亡したのを皮切りに、前年に比べ3倍のペースで死傷事故が急増した。9月、タンク上部から落下したパイプが当たり骨折したほか、高圧ケーブルの接続作業中に感電。11月にはタンク増設工事で390キロの鋼材が落下し、3人が重軽傷を負った。今年1月には、タンク設置工事で天板から転落し死亡。福島第二や柏崎刈羽原発でも死傷事故が起き、東電は敷地全体の作業を止めた。

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