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【10月10日 AFP】旧ソ連のチェルノブイリ(Chernobyl)原発で大事故が発生してからほぼ30年が経過したが、数千キロ離れたノルウェーでは最近、トナカイの肉に含まれる放射能濃度が急上昇し、食肉として消費するのは不適格となっている。同国政府機関が9日、明らかにした。
ノルウェー中部では今年、原発事故で大気中に放出された放射性同位元素のセシウム137のトナカイの肉に含まれる濃度が1キロ当たり最大8200ベクレルに達した。同地域は1986年の原発事故で発生した「放射性プルーム(放射性雲)」により甚大な影響を受けた。
ノルウェー放射線防護機関(Norwegian Radiation Protection Authority、NRPA)の研究者、インガー・マルグレーテ・アイケルマン(Inger Margrethe Eikelmann)氏は、AFPの取材に「これは、トナカイの食肉処理を行える上限値をはるかに上回っている」と語った。
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放射能濃度が上昇に転じた原因は、今年の夏の暖かく、湿気の多い気候が、「ショウゲンジ」というキノコの成長を促進させたことにある。ショウゲンジは、トナカイやヒツジなどの放牧されている家畜が好んで食べる餌の一つだ。
ショウゲンジは、土壌上層部に含まれる栄養を吸収する。ここにはセシウム137の大半が存在する。
アイケルマン氏によると、トナカイがショウゲンジを食べなくなれば、体内の放射能濃度は2~3週間で半減するという。またショウゲンジは初霜が降りると、自然に姿を消してしまう。
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