検察審査会の「起訴相当」議決を受け、東京電力福島第1原発事故の再捜査が始まる。だが、災害が引き金となった事故の刑事責任認定は難しく、新証 拠が浮上する公算も小さいため、再捜査でも立件は相当困難な状況だ。ただ、東京第5検察審査会は捜査結果を否定する形で旧経営陣を厳しく指弾。検察は民意 も意識しながら難しい捜査を展開することになりそうだ。
「個人の責任」問えず
「率直に言って意外な議決。捜査は尽くしており、今後どう捜査を展開するか頭が痛い」
議決を受けて検察幹部は心中をこう吐露し、再捜査の難しさを強調した。
検察の捜査は「事故を予見できる可能性があったか」「事故を回避できたか」という2点が重視されたが、浮かんだのは津波による全電源喪失が現実的な危機として共有されていなかった実態だった。
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法務省幹部は「事故への怒りは理解できるが、処罰できるかは別。そもそも災害に起因する事故で、個人の刑事責任を問うことに違和感がある」と話した。
「一般常識とずれ」
だが、第5検審はこうした検察判断を真っ向から否定した。東電の対応について「(旧経営陣は)推本の予測について無視できないと認識しつつ、何とか採用を 回避したいというもくろみがあった」「マニュアルの整備や事前訓練もやっておけば、本件の被害を軽減することができた」などと不備を指摘した。
さらに東電と規制当局の認識についても不信感をあらわにし、「安全に対するリスクが示されても、単なる数値と見るだけで、『原発は大丈夫』という安全神話の中にいた。一般常識からずれていると言わざるを得ない」と批判した。
全文は新証拠なし?再捜査困難 検察判断、「民意」が真っ向否定 東電元会長ら「起訴相当」
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