原発事故:Q&Aで読む…東電を破綻させない、その訳は?via 毎日jp

 政府・自民党は東京電力福島第1原発事故の事故処理費用の一部に国費を投入する方向で、現行の事故処理対策の見直しに入った。野党の一部などには、東電を破綻させて銀行など債権者にも責任を負わせ、国民負担を軽くすべきだとの声もあるが、政府は否定的だ。東電の破綻処理は難しいのか、Q&Aで検証した。【大久保渉】

 ◇Q 福島第1原発の事故処理対策はどうなっているの?

A 賠償や除染などの費用は、すべて東電が支払います。ただ、巨額なので、放っておけば東電は債務超過に陥り、破綻してしまうでしょう。このため国は、「原子力損害賠償支援機構」を通じ、東電に1兆円を資本注入するとともに、5兆円を上限に賠償費用を貸し付ける仕組みを作りました。ただ、事故処理費用はこの上限を超えて10兆円規模に膨張しそう。東電は毎年の電気料金収入で、公的資金を返済しますが、返済期間は数十年に及ぶ可能性があります。政府・与党は「東電任せだと、対策が滞りかねない」として、除染や汚染水対策では国が前面に出ることにし、汚染土などを保管する中間貯蔵施設などに税金を投じる方向です。

 ◇Q 国費を投じるなら、破綻で責任を取らせるのが筋では?

A 「会社更生法で法的整理し、資本金をすべて取り崩して株主責任を問うとともに、融資債権の大幅カットで銀行にも負担をおわせ、その分を賠償支払いなどに充当。国は足りない分を補えばよい」(政策研究大学院大学の福井秀夫教授)との議論もあります。事故直後にも、政府・与党内で破綻処理の選択肢が議論されました。

(略)

 ◇Q これからどうなるの?

A 第一に考えるべきは、被災者支援や事故処理の迅速化です。自民党は、東電の業務のうち、廃炉や汚染水処理などを分離し、事業を加速することを提案。東電は、廃炉事業などの社内分社化の検討を始めましたが、国費を投入することになれば、東電はリストラなど一段と身を切る覚悟を迫られます。今後、東電の組織形態の抜本的な改革も議論されるでしょう。

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