Q:トリチウムについて
トリチウムの濃度が急上昇という発表がありましたが、核反応が再開した可能性はありませんか。トリチウムが水、魚介類経由で、人体に取り込まれるリスクはありますか。ある場合、その影響は?(小出先生の回答)
はい、詳しくお応えしようとすると大変ですが、核分裂の連鎖反応が起きている可能性はありません。まぁ、絶対ないかというそういう言葉はあまり使いたくありませんが、絶対という言葉を使っても良いくらい私は思います。ただし、既に膨大な放射性物質が原子炉からふき出てきているわけですし、トリチウムも福島原子力発電所の敷地の中にもう溢れかえっている訳ですし、事故以降ずっと海に流れているのです。
トリチウムという放射性物質ですが、正体は水素なのです。この地球は水の惑星と言われるように水素と酸素でできているので す。私の体にしても皆さんの体にしても、ほとんどは水でできているわけで、これほど水は大切なものですし。水を構成している水素も大切なものなのです。生 きるというために。
(略)
Q:国の基準値ってどう決めているの?決定に国民は関与できないの?
(小出先生の回答)
本当は国民が主権者な訳ですから、関与できなければおかしい訳です。残念ながら 一人ひとりの国民が政府の決定に力を及ぼせるような歴史はなかったし、今でもない。それぞれの基準というのは、政府が決めた何とか委員会というようなとこ ろで決める。その決定事項もそれぞれの時代のそれぞれの社会のそれぞれの政府の思惑できまってくる。今までは被爆できる1ミリシーベルトと決まっていました。それは放射能は危険だから、国民を守らなければいけないと一応 作っていたのです。ところが事故がおきて、日本の政府はそれまでの基準をあっさりと撤回して、今は平常じではない、今は緊急時なので、1年間に20ミリ シーベルまではがまんさせることに決めたのです。
日本、特に被災地は意義と唱えるわけですが、それがいきるような政治の体制になっていない。1年間に20ミリシーベルとの被爆しないのであれば、住んでも良いし、むしろそこに積極的に戻れという指示を出している。そういう国なのです。
ですからそういう基準は、それぞれの時代のそれぞれの政府の思惑で決まる。それに意義があるのであれば、声をあげるしかないということだと思います。
Q:南相馬市の黒い物質について
「黒い物質」ですが、南相馬市小高区の内陸10km付近に1kgあたり600万ベクレルの土があるという事ですが、役所自体が海から5~6kmのところに あるのです。その海に近い比較的線量の低い場所に住んだとしても、強い西風の季節風が吹けば前述600万ベクレルの土が飛んできて危険だと思うのですが?(小出先生の回答)
もちろん、そうです。皆さんはご存知だと思いますが、環境は流れているのです。空気だって流れているし、土の汚染だって流れている。風でとんでくるわけ で、汚染地から離れているから安全ということはない。1kgあたり600万ベクレルという、私からみるとビックリするような高濃度な汚染がごくごく普通の 環境にあるのです。それがもちろん移動しているわけで、風で飛んでくるということは、必ずあると思わなければありません。(略)
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全文及びビデオは 小出裕章助教 第6回インタビュー