地下水放出、漁師の不信 東電の計画、福島県漁連は了承せず via 朝日新聞

東京電力福島第一原発から出る放射能汚染水を減らすために東電が目指す敷地内の地下水の海への放出は13日、福島県の漁業者の了承が得られず先送りとなった。東電と福島県漁業協同組合連合会の見込みより、漁業者の不信は大きかった。

■「処理水と誤解、多い」

「組合員には汚染を除去した処理水を流すと誤解している者も多い。まして消費者には(地下水と処理水の違いが)理解されない」「地下水でもイメージ低下は避けられず、試験操業を台無しにしかねない」――。

13日午前、福島県漁連が入る同県いわき市の水産会館。各漁協幹部が集まる県漁連の組合長会議に、水産庁や県、東電の関係者も加わった。東電側は、くみ 上げた地下水の放射性物質の濃度が1リットルあたり0・02~0・18ベクレルで、周辺の川で検出される1~2ベクレルの水より低いという分析結果を示 し、放出への理解を求めた。

だが、組合長らからは異論が相次ぎ、会議では放出を了承するかの判断を見送った。

組合長らの意見には、漁業者らの根強い不安と不信が反映されている。

2年余り前の原発事故直後、原子炉建屋に入り込んだ高濃度の汚染水が海に漏れ出した。海底土や一部の魚が汚染された。今も県沿岸で出漁を自粛する漁業者らは「原発からの水」に神経をとがらせる。

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福島第一原発では、事故で溶け落ちた核燃料を冷やす際に高濃度の汚染水が出て、原子炉建屋などにたまっている。震災などによってできたと見られる亀裂から地下水が1日に400トン流れ込み、汚染水が増え続けている状態だ。

地下水が原子炉建屋などに流れ込む前にくみ上げ、海へ流す「地下水バイパス」は、増え続ける汚染水を抑える対策の一つで、昨年から準備していた。

東電は井戸を12本掘って水質の調査を進めている。計画では、くみ上げた地下水はいったんタンクに保管し、水質検査をして安全を確認した上で海に流す。

現在、敷地内に蓄えられた汚染水の総量は約38万トン。地上のタンクなどに29万トン保管している。東電は2015年には地上タンクでの保管量が70万トンになると試算。汚染水は廃炉に向けた障壁になっている。

国と東電は、政府の廃炉対策推進会議のもとに委員会を設置し、5月中にも抜本策をまとめる方針だが、地下水放水以外、めぼしい対策は見つかっていない。

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