監督メッセージ
~映画制作にあたって~
六ヶ所村で暮らした12年間、私はフォトジャーナリストとしてまた一人の生活者として、核燃問題を見つめてきました。「原発1年分の放射能を1日で出す」といわれる再処理工場は、事故続きで操業予定が延期(2012年10月)されているものの、全国の原発から出る放射性廃棄物や海外からの返還高レベルガラス固化体などは、続々と運び込まれています。このままいけば、六ヶ所村は永久的に核のゴミ捨て場となるでしょう。何万年という単位の期間放射能を出し続ける核のゴミを、これ以上地球の未来に残していってよいのでしょうか。
その答えは、このたびの福島原発事故で明らかになったと言わざるをえません。福島のお母さんたちは、放射能から子どもたちを守るために、立ち上がり、国を動かしました。かつて六ケ所村や青森県内でも、核燃から子どもを守ろうと、多くのお母さんたちが行動を起こしました。建設されてしまった現在も、青森の人々は決して容認しているわけではなく、目に見えぬ圧力の中で、不安な気持ちを抱えて生活しています。
私は、原子力といのちが共存できないことを身をもって体験している福島や青森の人たち、とりわけお母さんや子供たちに、いのちの尊さを伝えてもらおうと思います。そのことによって、日本に暮らす私たち一人ひとりがこの問題をどう引き受けていくのか、これからのエネルギーをどう選択していくのか、この映画がそのメッセージとなり得、未来の世代への贈り物となることを願っています。
監督 島田恵
上映会など、この映画についての情報はこちら。