脱原発:オーストリアからの報告/上 輸入分もゼロへ 「風力」普及に力 via 毎日jp

原発禁止を憲法に明記しているオーストリアは、国内に稼働中の原発が1基もない。さらに、15年までに原発電力の輸入ゼロを目指し、再生可能エネルギーを強力に推進している。現地を歩くと、「原発ゼロ」へ向けた日本の課題が見えた。2回に分けて報告する。【奥山智己】

(中略)

オーストリアは、北海道とほぼ同じ面積の約8・4万平方キロに約840万人が暮らす。年間発電電力量(10年)は711億キロワット時で、59%を 水力発電で賄う。一方で年50億キロワット時前後を周辺国から輸入、うち原発で発電した分が3〜4%を占めるが、15年までにゼロにする方針だ。

■20年に2倍以上に

脱原発を 進めながら、年々増える電力需要に応えるため、オーストリア政府などは、再生エネの中でも風力発電の普及に力を入れている。現行では風力は年間発電電力量 の3%に過ぎないが、経済・家庭・青少年省は「同州などの開発を進めれば、現在の出力120万キロワットが18〜20年には倍以上の300万キロワットに なる」と見込む。

同州で風車を建てる場合、州が決めた発電に適した区域に限られる。さらに景観や地下水、鳥の飛行進路に悪影響を与えないかなど環境アセスメントで15項目の基準を満たさなければならない。

■買い取り制度で後押し

アセスはエネ社にとって負担だが、担当者は「それでも買い取り制度のおかげで、建設費など1基あたり約1400万ユーロ(約14億9700万円)を十数年で回収できる。電気代は九つある州の平均程度です」と話す。

買い取り制度とは、エコ電力法に基づき、電力会社に一定期間、固定価格で再生エネによる電力の買い取り を義務づけるもので、03年1月にスタートした。現在の買い取り価格は13年間で1キロワット時当たり9・5〜9・7セント(約10・1〜10・3円)。 電力卸市場の約2倍の値が設定されている。

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