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放射線防護の考え方原案に「10ミリ基準」〜内閣府の意向で削除 via OurPlanet-TV

放射線審議会が2018年1月に取りまとめた文書「放射線防護の基本的考え方の整理」原案に、原子力災害における現存被曝状況の参考レベルとして「10ミリシーベルト以下」とする「10ミリ基準」の表記があったことが、OurPlanet-TVの取材でわかった。原子力規制庁の事務局は公表前の原案を内閣府に共有。審議会の審議資料から削除していた。 「放射線防護の基本的考え方」は、放射線防護の基準の統一をはかる目的で、2017年9月に検討を開始したもの。国際放射線防護委員会(ICRP)メンバーでもある甲斐倫明大分県立看護大学教授が原案を執筆した。 […] 政府は避難指示の基準を20mSvに設定した一方、同年12月には避難指示解除の要件も「年間20mSv」と決定。2014年4月の田村市都路を皮切りに避難指示の解除を進めてきた。 ただ住民の多くは、この「20mSv基準」に反発してきた。というのも、そもそも公衆の被曝上限が年間1mSvであるうえ、チェルノブイリでは、原発事故後5年目に成立した「チェルノブイリ法」で、強制避難地域の基準を年間5mSv、年1〜5mSvを「避難の権利」ゾーンとしていたためだ。またICRPの勧告でも、「現存被曝状況」の参考レベルを「1~20mSvのバンドの下方部分から選択すべき」としているため、年間20mSvは高すぎるとの批判が根強く、1mSvに引き下げるべきだとの声が上がっていた。 さらに問題を複雑にしたのは、政府自らが決めた除染目標だ。年間1mSvという除染目標と20mSvという避難基準との間に大きな幅が生じたため、住民に混乱を与えてきた。福島県内の首長の中には、除染目標を年間5mSvに緩和するよう求める声もあがったが、住民から新たな批判が噴出することを恐れた政府は見直しを断念。「年間1mSv」と「年間20mSv」という2つの基準を維持したまま、現存被曝状況のおける「参考レベル」を曖昧にしてきた。 […] 100mSv以下の確率的影響については、直線しきい値なし(LNT)モデルが妥当かどうか、避難者らが国を訴えている損害賠償裁判で大きな争点となってきたが、放射線審議会という独立した機関の「考え方」を、規制される側である支援チームが不利になる記載の修正を求め、審議会事務局が応じていたのである。 […] 政治と科学との関係を研究している藤岡毅大阪経済法科大学 21世紀社会総合研究センター 客員教授の話 放射線障害を防止するために、専門家が議論する審議会の事務局が、福島事故後の避難解除基準値を決めてきた内閣府原子力被災者支援チームに内部文書を送り、行政の意向を反映したとすれば、明らかにおかしく、不当だ。 ただ放射線審議会はそもそも政府や原子力産業に忖度する傾向の強い専門家 を中心に委員が選ばれており、そうした枠組みを作り、委員を選んでいるのが、事務局の官僚であることを考えれば驚きはない。今回の件は、放射線審議会のあり方自身がおかしいことの証左だと感じる。 また政府は福島原発事故後、ICRPの勧告を都合よく解釈し、避難指示や解除の運用を行なってきたが、今回のことで、ICRPをねじ曲げても年20 mSv基準を固定化し自らの政策を正当化するという露骨な姿勢が裏付けられたと言える。 放射線審議会はこの年の4月に法改正し独自の調査・提言能力を有するようになったが、住民を被曝から守ろうという姿勢は薄く、まさに危惧している点が具体的に現れたケースと解釈できる。放射線審議会のあり方を再吟味し、少なくとも被害住民や公衆の立場に立つ専門家を複数名委員に加えるべきだろう。 全文

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放射線防護の考え方「年1ミリシーベルト」削除へ〜放射線審議会 via OurPlanet-TV

放射線審議会は2月26日、原発事故などの復旧期に示す「目標値(参考レベル)」から、「年間1ミリシーベルト」という記述を削除することを決めた。放射線防護の基準等を定めている民間組織「ICRP(国際放射線防護委員会)」が今年1月公表した新たな勧告内容を反映させていくとして、今後、報告書を修正していく。 今回、記述を変更するのは、2019年1月に取りまとめた報告書「放射線防護の基本的考え方の整理-放射線審議会における対応」。報告書の中で、従来は、事故復旧期における「現存被曝状況」の参考レベルを「1-20 mSv(年間)のバンドの下方部分」と定め、代表的な値は「年間1mSv 」としてきたが、ICRPの勧告に合わせてこれを削除。 「1-20 mSvのバンドの下半分で、バンドの下端に向かって徐々に被ばく量を減らし、可能であればそれ以下である ことを目標とする」と変更する。 […] 放射線防護をめぐってはICRPが2007年、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに、「パブリケーション109」と「パブリケーション111」の2つの勧告を公表し、それぞれ事故直後の「緊急時」と復旧期の「現存被曝状況」の放射線防護基準を示していた。 しかし、日本政府が法律に取り入れる前に東京電力福島第一原発事故が発生。避難基準を年間20ミリと定める一方、除染目標を年間1ミリシーベルトと設定する矛盾した状況が続き、勧告を恣意的に運用していると批判を招いていた。 こうした中、ICRPは2014年、福島原発事故の経験を反映させるとして、新たな勧告を策定。今年1月、「パブリケーション146」という新たな勧告を公表した。この勧告では、緊急時と回復期について定めていた「パブリケーション109」と「パブリケーション111」という2つの勧告を統合。その上で、現存被曝状況における公衆の参考レベルについて 「1-20 mSvのバンドの下半分で、バンドの下端に向かって徐々に被ばく量を減らし、可能であればそれ以下である ことを目標とする」と設定。 参考レベルとして「年間1ミリシーベルト」という文字が消えた。 […] 全文

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「黒い雨」訴訟判決控訴抗議声明via ひだんれん

2020年9月29日    2020年7月29日広島地方裁判所は、「黒い雨」裁判に関する判決を下し、原告84名全員への被爆者健康手帳交付を広島市・広島県に命じた。これに対し参加行政庁厚生労働省、被告広島市及び広島県は、判決が「科学的知見に基づいていない」として、8月12日広島高等裁判所に対して控訴した。   この控訴は判決が含む実証性・科学性を否定する反科学的意図を含むものであり、被爆者健康手帳交付を徒に遅らせ、「黒い雨」被爆者救済を先延ばしするものである。よって厳重に抗議し、控訴取り下げを求める。 さらに、広島地裁判決は、内部被曝による健康被害の可能性を認め、地理的線引きによる被害者の特定を否定した点で、福島原発事故による広範な放射線被曝被害を正しい解決に導く一つの指針である。高度約600mで核爆発した原爆であったことと、地上で核事故を起こした原発であったこととの違いがあるだけで、膨大な核分裂物質が環境中にまき散らされ、周辺住民を生涯にわたって不安と健康被害に陥れる事実に変わりはない。 広島地裁、高島義行判決は現時点での英知の結晶であり、決して闇に葬ってはならない。 国・広島市・広島県の控訴は、戦後75年経過してもなおかつ未解決の「黒い雨」被爆者救済を、徒に遅らせるという点で不当である。「黒い雨」被爆者は原告になった84名だけではない。調査によれば数千人規模の被害者が存在すると言われる。    控訴せずとも、判決を機に今回認定された「黒い雨」被爆を広島原爆被害の「類型」として認め、「黒い雨」降雨域の範囲を新たに認定し、政令を改正すれば済む話である。これで数千人といわれる「黒い雨」被爆者を救済できる。にもかかわらず控訴して、救済に時間をかけようとする国、広島市、広島県の姿勢は到底容認できない。 さらに、広島地裁判決のもつ科学性・実証性が、核産業にとって、そして核産業推進を掲げる現政権にとって都合が悪いからという理由でこれを「非科学的」と論難し、自らの都合だけで広島地裁判決をなかったものとして闇に葬り去ろうとする国の「控訴理由」は極めて不当である。 私たちの国は、福島原発事故という未曾有の「放射能大惨事」のただ中にある。現に「福島第一原発事故による原子力緊急事態宣言」は、2011年3月11日以来継続中である。宣言解消のメドすらたっていない。    長期低線量被曝、特に内部被曝被害を考えて見たとき、広島原爆による「黒い雨」被爆者同様、福島第一原発事故による被曝被害は、私たちの国の将来を左右しかねないほどの健康被害を現にもたらしている。   また、科学的調査に基づかない政治的判断による線引きによって被害者は分断され、差別され、賠償や援護策から切り捨てられようとしている。    こうした被曝被害を、日本全体で正しく解決に導く一つの指針が、広島地裁判決である。それを闇に葬り去ろうという動きは、ここに至っても原発と訣別できぬこの国を滅亡に導くことと同義である。 日本国百年の計に立って見て、到底許されるものではない。 私たちは控訴に断固抗議し、控訴取り下げを求めるものである。 以上 (本抗議声明の「背景と解説」を別途添付する。) 【抗議声明発出団体】 原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)   住所:〒963-4316 福島県田村市船引町芦沢字小倉140-1   電話:080-2805-9004 伊方原発広島裁判原告団   住所:〒733-0012 広島県広島市西区中広町2-21-22-203   電話:090-7372-4608 「避難の権利」を求める全国避難者の会   住所:〒004-0064 北海道札幌市厚別区厚別西四条2丁目6-8-2 中手方   電話:080-1678-5562 福島原発事故被害救済九州訴訟原告団   住所:〒839-1308 福岡県うきは市吉井町八和田633   電話:090-9530-3148 原発賠償関西訴訟原告団   住所:〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満2丁目8番1号 大江ビル405号   電話:06-6363-3705 黒い雨判決控訴抗議声明賛同団体(86団体) 「黒い雨」控訴抗議声明 解説と背景 2020年9月29日 伊方原発広島裁判原告団  2020年7月29日広島地方裁判所は、「黒い雨」裁判に関する判決を下し、原告84名全員に被爆者健康手帳の交付を行うよう広島市・広島県に命じました。これに対し参加行政庁厚生労働省、被告広島市及び広島県は、8月12日広島高等裁判所に対して控訴しました。  私たちは、この控訴に対し、厳重に抗議し、取り下げを求め、「抗議声明」を発出することにしました。ここでは「抗議声明」の土台となる広島地裁判決の解説とその背景についてご説明します。 1.判決の説示 … Continue reading

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『被曝影響をフェイクサイエンスで対応する国家的犯罪(前編)』via 市民のためのがん治療の会

(独)国立病院機構 北海道がんセンター 名誉院長「市民のためのがん治療の会」顧問   西尾正道 はじめに コロナウイルス問題で9年前の原発事故による健康被害の問題はほとんど報道されなくなった。 9年目を迎えた3月11日の報道ではトリチウムの海洋放出問題だけが、政府・行政側の安全だとする意見と漁業者側の風評被害を危惧する意見との対立として報じられたが、そこでは科学的な意見や議論は皆無であった。 そもそもフェイクサイエンスで塗り固められたICRP(国際放射線防護委員会)のまったく科学的な実証性のない非科学的な内部被曝のインチキ計算を基にエネルギーの低いトリチウムを海洋放出しても被曝線量は低く安全であるとし、夏以降に海洋放出しようとしている。 科学的・医学的知識の欠如したジャーナリズムの問題もあるが、利益のために国民をだまし続ける原子力ムラの対応は目に余るものがある。 福島原発事故から9年を迎えたが、事故直後に出された「原子力緊急事態宣言」下のままである。 そこで本稿では、現在までの福島事故後の規制値の変更(緩和)や、棄民政策とも言える出鱈目な対応についてまとめ、さらに汚染水の海洋放出を強行しようとしていることからトリチウムの危険性についても報告する。 コロナウイルス感染では数日で発症することから真剣になるが、低線量の健康被害はすぐには症状を呈さず数年単位の問題となるため問題意識が希薄となるが、放痴国家の嘘と隠蔽に科学的な知識で対応して頂きたいと思う。 1.棄民政策を続ける原子力ムラの事故後の対応 政府・行政・東電は御用学者・インチキ有識者とスクラムを組んでICRPのフェイクサイエンを基に無責任な対応をしているが、醜いことにその手法も偽装と隠蔽と誤魔化しを織り交ぜて国民を欺いています。 事故後9年を経過し、現在まで行われてきた被曝線量に関する規制値の緩和をまとめ資料1に示すが、原発事故後の政府・行政の手法は常に後出しジャンケン手法であり、基本的な姿勢は【調べない】・【知らせない】・【助けない】です。 事故直後の体表面汚染の測定において法律では13,000cpm以上であれば除染しなければ管理区域内にとどまらなければならないが、100,000cpmまで引き上げ放射性物質を付着させたまま退避させた。 特に一般人の人工放射線の居住基準としている年間1mSvを年間20mSvにまで引き上げ、いまだに変更することなく被曝を強要している。  […] 全文

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ICRPが原発事故後の放射線防護に関する勧告をアップデート中。パブコメでは一般の方のコメントも大歓迎 via Harbor Business Online

井田 真人 ◆一般住民の被ばくに関わるICRPの重要勧告の更新とパブコメ  繰り返しお伝えしてきた通り、ICRP(国際放射線防護委員会)が原発事故後の一般住民の被ばくを左右する重要な勧告を更新しようとしています(既報1 、既報2 、既報3 )。また、その更新の内容について多くの方々から意見を聞くべく、現在、パブリックコメント(以下、パブコメ)が実施されています。  そのパブコメの締め切り(10月25日)まであと1週間を切りました。皆さん、コメントの投稿はお済でしょうか? ちなみに、筆者は9月10日に投稿を済ませました(投稿したコメント及びその日本語訳 )。 (略) ◆ICRPは一般の方々からのコメントを歓迎している  コメントを募集している組織がICRPという科学者集団であるため、一般の方々はそれだけでコメント投稿をためらってしまうかもしれません。しかし、怖じ気づく必要はまったくありません。今回更新される勧告は、一般人の被ばくに関わるものです。また、その更新は、福島第一原発事故という、多数の一般の方々が巻き込まれた事故の教訓に基づくものです。したがって、一般の方々からのコメントは、ICRPにとって非常に貴重なものになります。  実際、ICRP側も「一般の方々からのコメントを歓迎している。ICRPは“公共の利益(パブリック・ベネフィット)”を重視している」と、公の場でコメントしています。8月22日に行われた公開ヒアリングでの以下のやり取りをご覧ください。 ◆一般の方からの質問(動画の1:53:57から) ◆ICRP側からの回答(動画の2:04:26から)。回答者は元ICRP科学秘書官補佐の荻野晴之氏  ちなみに、ICRP委員になるような学者・科学者が普段付き合っているのは、同じ学者・科学者仲間か、せいぜい理系の大学生までで、それ以外の一般の方々との付き合いは極めて限られます。したがって、自分の専門のこと(放射線防護)について一般の方々から意見がもらえるこのような機会は、ICRP委員たちにとって非常に貴重なものです。怖じ気づかず、「学者・科学者に“世間”というものを教えてやる!!」くらいの気持ちで、どんどんコメント投稿しましょう。 ◆英作文が苦手な方は日本語で  ICRPは国際機関ですので、公用語は英語です。ですが、今回行われる勧告の更新は、日本で起きた原発事故の教訓を取り入れることを目的にしているため、多くの日本人からの声を聞くべく、パブコメでは日本語でのコメント投稿もOKとされています(参照:ICRPが原発事故後の放射線防護に関する勧告をアップデート中。パブコメは日本語でOK|HBOL)。  そこで悩むのは、英語で書くか、日本語で書くか、です。今回の勧告更新に携わるICRP委員には2人の日本人(大分県立看護科学大学の甲斐倫明教授と原子力規制庁の本間俊充氏)がいますが、他は全員が外国人です(Task Group 93 )。とすると、2人にしか読めない日本語で書くより、全員が読める英語で書いた方がいいのではないか?と思う方もおられると思います。しかし、―――  英語での作文に不慣れな方には、迷わず日本語で書くことをお勧めします。不慣れな方の英文は、往々にして(失礼を覚悟で言うと)意味がうまく取れないものになりがちです。 (略) 日本語で書いておけば、少なくとも2人の日本人委員には理解してもらえるはずです。また、更新版勧告(草稿)の編集委員(Associate Editor)を務めている藤田博喜氏(ICRP科学秘書官補佐)も日本人です。心強いです。 (略) また、新勧告(草案)の原文は長大な英文ですが、日本各地の有志らにより、その全文が日本語訳されました(すごい!)。 ◆ICRPの勧告改訂草案の日本語訳を掲載中(NPO法人 市民科学研究室)  これでコメント投稿のハードルが一気に下がったのではないでしょうか。  パブコメの締め切りは10月25日です。さあ、コメント投稿の準備を始めましょう。 全文はICRPが原発事故後の放射線防護に関する勧告をアップデート中。パブコメでは一般の方のコメントも大歓迎

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「放射線だけが敵ではない」〜ICRP委員が勧告案を解説 via OurPlanet-TV

国際放射線防護委員会(ICRP)が、大規模原発事故時の新たな勧告案を公表し、パブリックコメントを募集していることを受け、環境団体など7団体が2日、勧告案を起草した委員の一人、甲斐倫明大分看護大学教授を招き、学習会を開催した。参加者からは、新たな基準値に関する質問が相次ぎ、福島原発事故の実態が反映されていないのではないかとの意見が相次いだ。  「大規模原子力事故時の人と環境の放射線防護」(草案)「Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident」  放射線だけが私たちの敵ではない学習会ではまず甲斐氏が新たな勧告案について解説したのち、主催者が事前に集約していた質問について回答した。従来「100〜20ミリシーベルト」とされていた緊急時被曝状況の参考レベルが、「100ミリを超えるべきではない」と変更された理由について甲斐氏は、100ミリに達しないような小規模の事故もあるとした上で、「事故の規模に応じた参考レベルを決めればいいので、下限値を設けるべきではない」と説明した。  一方、従来「1〜20ミリシーベルト」とされていた「回復期」の参考レベルを、「10ミリを超える必要はない」と変えた理由については、「復旧期の目標値が20ミリという高い数値だと、回復へのモチベーションが下がってしまう。逆に、最初から1ミリだと、参考レベルを超える人が膨大になるため、優先順位が決められないと」として、10ミリを選んだと回答。しかし、10という数字に科学的な根拠はないと説明した。 […] また、長期的な目標として「the order of 1mSv」と記載されていることについて、「英語のorderにはおよそという意味合いがある。」と解説し、「1〜9ミリというじゃない。」と否定。「10ミリシーベルト徐々に線量を下げることによって1ミリに下げることを言っている。」と反論したが、「こちらで言ってるようには読めないというのであれば変えていく」と述べた。  甲斐氏が繰り返し述べたのが、「放射線だけが私たちの敵ではない」という言葉。原発事故の影響は、放射線による影響より、社会経済的な影響や精神的な影響が大きいことを強調した。  放射線審議会の委員とICRP両立するのか。後半は会場の参加者と質疑が行われた。勧告をする側であるICRPの委員と、勧告を受け入れるかを判断する放射線審議会の委員が両立するのかとの質問について、甲斐氏は「専門家が手薄なのでこうなっている」と釈明。もし利益相反であるあらば、片方の一つの委員をやめるしかないのか。他に方法があるのか逆に問いかけた。  […] 全部と動画

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子どもに年10mSvの被曝容認?〜放射線新基準でヒヤリング via OurPlanet-TV

[…] 「大規模原子力事故時の人と環境の放射線防護」案Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident ヒヤリングを求めたのは、「原発ゼロの会」の事務局を担っている阿部知子衆議院議員。新勧告を作成したICRPのタスクグループ(TG93)の座長である放射線審議会甲斐倫明委員と原子力規制庁職員の本間俊充氏の出席を求めたが、同庁放射線防護企画課の荻野晴之氏らが代理に出席した。荻野氏は電力中央研究所の職員として、ICRPに出向した経験のあり、現在も同報告書に関与している。  荻野氏は、甲斐氏が8月上旬、NPO法人主催のイベントで発表した際のスライドをもとに概要を説明。新たな勧告では、原子力災害後の被曝状況を3つの期間に分けて防護対策を定めているといった特徴について説明した。  […] これに対し、学部時代、東京大学の原子力工学科に所属していた慶應大学経済学部の濱岡豊教授が改訂案に対するコメントを述べ、前提の事実認識や被曝影響の過小評価につながる枠組みとなっているなどを指摘した。 濱岡教授は、今回の勧告が極めてわかりにくい理由について、「変更した理由が示されていない。 」と批判。例えば、「回復期の被曝線量基準が10ミリとなっているが、5mSvではだめなのか?」など、10mSvした理由が全く示されていないとして、誰もが解釈可能なよう、明確な言葉づかいに変更するようもとめた。また福島での健康影響については、甲状腺がんが増えているとする論文の方が多いと指摘。勧告を出すのは、ほかの勧告や条件が整うまで延期すべきだとする見解を述べた。 濱岡豊教授のスライド資料濱岡豊教授のコメント […] 回復期の参考レベル10mSvの理由不明新勧告は、原子力規制庁職員の本間俊充氏らが執筆者となっている。これについて、高木学校の瀬川嘉之さんが、出張経費は規制庁が負担しているのかと指摘。荻野氏が、規制庁が負担していることを明かすと、会場からは、ならば、新勧告の和訳も規制庁の費用負担で作成すべきではないかとの声が相次いだ。  また参考レベルが10ミリシーベルトとなっていることについて、原子力資料情報室の伴英幸氏が、子どもであれば、生涯線量が超えてしまう可能性があると質問。これに対し、荻野氏は「参考レベルはあくまでも目安のレベルであり、ドラフトレポートで大事なのは、状況を改善するために、ステイクホルダーとともに意思決定をすること」と回答。参考レベルは、あくまでも目安であり、線量限度の考え方とは異なることを強調した。  […] 全文と動画

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ICRP新勧告「被災者を守れない」〜市民団体が批判 via OurPlanet-TV

国際放射線防護委員会(ICRP)が、大規模原発事故時の新たな防護基準についてパブリックコメントを募集していることを受け、環境団体など7団体が緊急の記者会見を開き、「福島の教訓を反映されていない」と批判。日本の多くの市民がパブリックコメントを送るよう呼びかけた。  「大規模原子力事故時の人と環境の放射線防護」「Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident」ICRPがパブコメを募集しているのは、「大規模原子力事故時の人と環境の放射線防護」と題する98ページにのぼる英文の報告書。この報告書をもとに、原発事故後の緊急時の防護基準を勧告する「109勧告」と、回復期(現存被曝状況)に関する「111勧告」の2つの勧告を見直すとしている。  […] […] 「order」の意味は?~1ミリシーベルトをめぐる今回の勧告で、「回復期」の参考レベルと記載されているのは、「10mSv」という数字だけ。従来は「20mSvから1mSvのできるだけ下方に参考レベルを置き、その代表的な数値は1mSvである」とされていたことと比べると、大きな緩和となる。 TG93ドラフト主要部分仮訳 このことについて、原子力資料情報室の片岡遼平さんは、「甲斐委員によって公開された日本語訳の抜粋には、「⻑期的な目標は年間 1 mSv 程度まで被ばくを低減することである」と訳されているが、原文は、「The long-term goal is to reduce exposures to the order of 1mSv per year」。「「order」という言葉は、物理学の世界では桁数のことを意味しており、1〜9を意味する」と指摘し、「10ミリ以下は防護する必要がないという、大幅な緩和につながる恐れがある」と反発した 「被災者守れない」〜パブコメ呼びかけ「新勧告案では被害者を守れない。」と静かに語るのは、国際環境NGOグリンピースの鈴木かずえさん。鈴木さんは、「当事者の声を聞かずに作りってしまい、当事者が何に悩んで苦しんでいるかっていうことが全く反映されていない。新勧告案では、そういった苦しんでいる人たちが全く守れない。このままだと守れないので、守れるように、なるべく多くの人に、特に福島の人に、パブコメを出して欲しいと思う」と呼びかけた。  ICRP勧告は被曝防護の基準として、世界各国の法令などに反映される。瀬川氏は「福島原発事故に関する誤った認識が、世界に広められて、世界の原発や原発事故に適用されていくということなので、日本だけじゃない重大な問題」と述べた。  チェルノプイリと福島の実相反映されず同報告は、チェルノブイリ原発事故と、福島原発事故の2つの過酷事故の経験についても記載がある。しかし、チェルノブイリ原発事故の調査を続けていきた「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークの吉田由布子さんは、記述内容にばらつきがあり、偏りが大きいと批判。また、汚染地域を規定し、被災者の救済を定めている「チェリノブイリ法」についてまともな記載がほとんどなく、問題があるとの見方を示した。  … Continue reading

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放射能嫌いは「認知バイアス」〜原子力規制委員がメール via OurPlanet-TV

原子力規制委員会の伴信彦委員が今年1月、低線量被曝を心配する市民を見下すようなメールを、国際機関の担当者に送っていたことがわかった。メールで伴氏は、「放射線嫌い」は「認知バイアス」によるもので、論理的な説明は通じないと述べていた。伴氏は2015年9月から、放射線防護の専門家として原子力規制委員に就任している。 問題のメールは今年1月27日、伴氏が、経済協力開発機構(OECD)原子力機構の職員で放射線防護委員会(ICRP)委員でもあるエドワード・ラゾ氏に送ったもの。ラゾ氏は、しきい値がなく、線量に応じて死亡リスクが増加するという「LNTモデル」を採用することによって、放射線防護に多額なコストがかかることを問題視。経済合理性を重視した「reasonableness(合理性)」という新たな被曝防護概念を検討する国際会議を企画し、伴氏に招待メールを送付していた。 […] 全文

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原発事故後の防護基準1ミリから10ミリに緩和へ〜ICRP via Our Planet-TV

国際放射線防護委員会(ICRP)は今春にも、原発事故後の放射線被曝防護基準を年間1ミリシーベルトから、10ミリシーベルトに見直す方針であることがわかった。現在、実施しているパブリックコメントを経て、来年春に開催される主委員会で承認される。 見直しを行うのは、緊急時の被曝防護策を定めた「ICRP Publications 109」と回復期(現存被曝状況)の被曝防護策を定めた「ICRP Publications 109」の2つの基準。これまでの勧告では、原発事故後の緊急時には100から20ミリシーベルト、回復期には20ミリから1ミリシーベルトの間に参考レベルを置き、被曝の低減に努めることを求めていたが、これを緩和。緊急時は100ミリ、回復期は10ミリシーベルトとする。 報告書では、チェルノブイリと福島の原子力事故では、緊急時および回復期の防護基準が厳しかかったことにより、マイナスな影響を与えたと指摘。原発事故の甚大な影響に対処するためには、放射線防護だけでなく、社会的な要因なども考慮すべきだとしている。 報告書とパブリックコメント募集のページ>Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident […] ICRPダイアログ報告書は、勧告の見直しにあたり、ICRPが福島県内で実施してきた「ICRPダイアログ」にと言及。市民団体「福島のエートス」の安東量子さんの報告を引用し、いわき市末続の住民が、個人線量計やボールボディーカウンターで自分の線量を把握した実践や専門家と被災者の知識の共有が重要な役割を担ったとしている。また、福島医科大学の宮崎真氏の論文も引用。個人線量計の有用性を指摘したほか、地域の放射線防護対策を計画するにあたって、行政当局が住民データを入手することの意義にも言及している。 甲状腺検査は100~500mGyの小児のみ報告書は、県民健康調査についても触れている。福島県で発見された小児甲状腺がんは、事故後の放射線被ばくの結果である可能性は低いとした上で、甲状腺の超音波検査は、甲状腺に100〜500 mGyの被曝をした胎児、小児、青年期にのみ限定して実施すべきと勧告した。 原発事故後の被曝防護の基準値見直しにあたって、ICRPは2013年、タスクグループ(TG93)を発足。日本からは、放射線審議会委委員の甲斐倫明氏と原子力規制庁の本間俊充氏が委員に就任した。その後、足掛け5年かけて勧告をまとめ、勧告の見直しを行う委員会(第4委員会)に提案。今年6月、バブコメ用の報告書が一般公表された。パブリックコメントを経て、来年春に開催される主委員会で決定される見通しだという。パブコメの受付は今年9月20日まで。 全文と動画

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