ICRPが原発事故後の放射線防護に関する勧告をアップデート中。パブコメでは一般の方のコメントも大歓迎 via Harbor Business Online

井田 真人

◆一般住民の被ばくに関わるICRPの重要勧告の更新とパブコメ

 繰り返しお伝えしてきた通り、ICRP(国際放射線防護委員会)が原発事故後の一般住民の被ばくを左右する重要な勧告を更新しようとしています(既報1 、既報2 、既報3 )。また、その更新の内容について多くの方々から意見を聞くべく、現在、パブリックコメント(以下、パブコメ)が実施されています。

 そのパブコメの締め切り(10月25日)まであと1週間を切りました。皆さん、コメントの投稿はお済でしょうか? ちなみに、筆者は9月10日に投稿を済ませました(投稿したコメント及びその日本語訳 )。

(略)

◆ICRPは一般の方々からのコメントを歓迎している

 コメントを募集している組織がICRPという科学者集団であるため、一般の方々はそれだけでコメント投稿をためらってしまうかもしれません。しかし、怖じ気づく必要はまったくありません。今回更新される勧告は、一般人の被ばくに関わるものです。また、その更新は、福島第一原発事故という、多数の一般の方々が巻き込まれた事故の教訓に基づくものです。したがって、一般の方々からのコメントは、ICRPにとって非常に貴重なものになります。

 実際、ICRP側も「一般の方々からのコメントを歓迎している。ICRPは“公共の利益(パブリック・ベネフィット)”を重視している」と、公の場でコメントしています。8月22日に行われた公開ヒアリングでの以下のやり取りをご覧ください。

◆一般の方からの質問(動画の1:53:57から)

◆ICRP側からの回答(動画の2:04:26から)。回答者は元ICRP科学秘書官補佐の荻野晴之氏

 ちなみに、ICRP委員になるような学者・科学者が普段付き合っているのは、同じ学者・科学者仲間か、せいぜい理系の大学生までで、それ以外の一般の方々との付き合いは極めて限られます。したがって、自分の専門のこと(放射線防護)について一般の方々から意見がもらえるこのような機会は、ICRP委員たちにとって非常に貴重なものです。怖じ気づかず、「学者・科学者に“世間”というものを教えてやる!!」くらいの気持ちで、どんどんコメント投稿しましょう。

◆英作文が苦手な方は日本語で

 ICRPは国際機関ですので、公用語は英語です。ですが、今回行われる勧告の更新は、日本で起きた原発事故の教訓を取り入れることを目的にしているため、多くの日本人からの声を聞くべく、パブコメでは日本語でのコメント投稿もOKとされています(参照:ICRPが原発事故後の放射線防護に関する勧告をアップデート中。パブコメは日本語でOK|HBOL)。

 そこで悩むのは、英語で書くか、日本語で書くか、です。今回の勧告更新に携わるICRP委員には2人の日本人(大分県立看護科学大学の甲斐倫明教授と原子力規制庁の本間俊充氏)がいますが、他は全員が外国人です(Task Group 93 )。とすると、2人にしか読めない日本語で書くより、全員が読める英語で書いた方がいいのではないか?と思う方もおられると思います。しかし、―――

 英語での作文に不慣れな方には、迷わず日本語で書くことをお勧めします。不慣れな方の英文は、往々にして(失礼を覚悟で言うと)意味がうまく取れないものになりがちです。

(略)

日本語で書いておけば、少なくとも2人の日本人委員には理解してもらえるはずです。また、更新版勧告(草稿)の編集委員(Associate Editor)を務めている藤田博喜氏(ICRP科学秘書官補佐)も日本人です。心強いです。

(略)

また、新勧告(草案)の原文は長大な英文ですが、日本各地の有志らにより、その全文が日本語訳されました(すごい!)。 ◆ICRPの勧告改訂草案の日本語訳を掲載中(NPO法人 市民科学研究室)  これでコメント投稿のハードルが一気に下がったのではないでしょうか。  パブコメの締め切りは10月25日です。さあ、コメント投稿の準備を始めましょう。

全文はICRPが原発事故後の放射線防護に関する勧告をアップデート中。パブコメでは一般の方のコメントも大歓迎

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