「福島原発この目で」 増える視察、4年半で1万6千人 via 朝日新聞

廃炉作業が続く東京電力福島第一原発で、構内の視察者が増えている。事故から昨年9月までの約4年半で約1万6千人が訪れた。当初は専門家や政治家らが中心だったが、放射線量原発事故直後より下がるにつれ、最近は一般の人たちも視察している。

ずらりと並ぶ汚染水タンク、燃料取り出しのための巨大な設備が付けられた原子炉建屋、防護服と全面マスクの作業員たち……。昨年11月、大学生19人がバス車内から見学した。慶応大2年の大橋南菜(なな)さんは「廃炉や原子力をどうするかの選択から、私たちの世代は目を背けられないと実感した」と話した。

連れてきたのは、一般社団法人「AFW」。元東電社員の吉川彰浩さん(35)らが市民が廃炉現場を知る機会をつくろうと、昨年から福島県沿岸部の住民らを構内に案内する活動を始めた。これまで7回に約140人が参加した。

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現状の視察では綿の手袋や使い捨てマスク、足カバーと線量計を身に着ける。線量の高い場所で働く作業員と比べると装備ははるかに軽い。被曝(ひばく)を抑えるためバスからは降りないことが多く、約1時間の被曝量は10マイクロシーベルト前後。一般人の年間追加被曝限度とされる1ミリシーベルトの100分の1程度だ。

東電は14年4月に視察センターを設け、毎日、原則18歳以上の2~3組を受け入れる。誰でも入れるわけではなく、東電は「視察目的などから総合的に判断する」と説明する。

福島第一原発では1日7千人が働き、作業は数十年続く。センターの野呂秀明所長は「作業への関心は社員や作業員のモチベーションの核になる。積極的に受け入れたい」と話す。(川原千夏子、根岸拓朗)

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