九州電力川内原発1号機が14日、発電と送電を開始した。大手電力は停電のリスクを低減させるため原発は不可欠だと主張するが、原発ゼロで猛暑が続いているのに電力需給は 安定していた。省エネが進んで電力使用量が減り、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及が進んだためで、原発の必要性は薄れている。
▽ 猛暑でも逼迫せず
宮沢洋一経済産業相は「電力の一層の安定供給の観点から、重要な一歩だ」とのコメントを出した。ただ電力の供給力に対して実際の使用量の割合を示す「電力使用率」で見ると、今夏は猛暑にもかかわらず、電力需給は今のところ逼迫(ひっぱく)していない。
原発を持つ大手電力9社の最大使用率(実績ベース)は7月以降、80%台の日がほとんどだ。電力需給が「非常に厳しい」とされる95%を超えた日は今のところない。中部電力と中国電力で94%をつけた日がそれぞれ1日あっただけで、川内原発を再稼働した九電は90%に達した日はない。
▽ 原発24基分
貢献が大きいのは太陽光発電だ。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で太陽光発電は爆発的に普及し、ことし4月末時点で制度の対象となった設備の出力は原発の24基分に当たる、2400万キロワットを超えた。
太陽光は晴天の日にエアコンの使用で電力の使用量が伸びるのに合わせ、発電量が多くなる。夏の電力ピークに適した電源だ。
企業や家庭が省エネに努めたことも大きい。電力中央研究所が東京電力と関西電力の両管内を対象にした調査では、2014年夏の家庭の電力使用量は、東日本大震災前の10年に比べて約1割減少した。
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