11日に行われた政府主催の「東日本大震災三周年追悼式」で、三権の長として安倍総理、山崎参院議長、竹崎最高裁長官とともに式辞を述べた伊吹文明衆議院議長の発言内容について、共同通信が「首相周辺から不快感が出ている」と報じている。
[…]
一方、共産党の小池晃参議院議員は自身のTwitterで、「(伊吹衆院議長が)脱原発という言葉を使ったことも意外。それらに比べ、安倍首相の式辞は、原発に触れず復興は進んでいると。失望。」とコメントした。また、結いの党の柿沢未途衆議院議員も、「(留保付きではあるが)驚いた。」とコメントした。
問題となっている伊吹衆院議長の「追悼の辞」は、以下のとおり。
[…]
一方で、震災から3年が経過し、被災地以外では、大震災以前とほぼ変わらぬ日々の暮らしが営まれております。
しかし、被災地では仮設住宅等で、ご不自由な生活を余儀なくされている方々もなお多く、震災前の生活を取り戻すことは容易ではありません。特に原子力発電 所事故のあった福島県では住み慣れたふるさとに戻ることができず、今なお放射性物質による汚染に苦しんでいる方々が多くおられる現状を、私たちは忘れるべ きではないでしょう。そういった方々の事を思うと、電力を湯水の如く使い、物質的に快適な生活を当然のように送っていた我々一人一人の責任を、全て福島の被災者の方々に負わせてしまったのではないかという気持ちだけは持ち続けなりません。
思えば、私たちの祖先は、自然の恵みである太陽と水のおかげで作物を育て、命をつないできました。
それゆえ、自分たちではどうすることもできない自然への畏敬と、感謝という、謙虚さが受け継がれてきたのが日本人の心根、文化の根底にあったはずです。科学技術の進歩により、私たちの暮らしは確かに豊かになりましたが、他方で、人間が自然を支配できるという驕りが生じたのではないでしょうか。そのことが、核兵器による悲劇を生み、福島の原発事故を生んだのだと思います。
3年目の3.11を迎えるに際し、私たち一人一人が、電力は無尽蔵に使えるものとの前提に立ったライフスタイルを見直し、反省し、日本人として言行一致の姿勢で、省エネルギーと省電力の暮らしに舵を切らねばなりません。
主権者たる国民より選挙を通じて主権を委ねられている我々国会議員は、被災地の復興に全力で取り組むとともに、震災で得た教訓を元にエネルギー政策の在り方について、現実社会を混乱させることなく、将来の脱原発を見据えて議論を尽くしてまいりたいと存じます。
結びに、震災で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りし、追悼の言葉と致します。
平成26年3月11日 衆議院議長 伊吹文明
全文は “首相周辺から不快感”との報道も…伊吹文明衆議院議長の「追悼の辞」全文
関連記事 東日本大震災3年 天皇陛下のおことば全文 via 朝日新聞 (「さらにこの震災により、原子力発電所の事故が発生し、放射能汚染地域の立ち入りが制限されているため、多くの人々が住み慣れた地域から離れることを余儀なくされています。いまだに自らの家に帰還する見通しが立っていない人々が多いことを思うと心が痛みます。」こうした原発事故、放射能汚染についての言及は1周年にはあったが昨年の2周年ではまったく消えていた。今年3周年にあたって復活している。当サイト内「東日本大震災追悼式 天皇陛下のおことば全文 via 朝日新聞」2周年の「おことば」も参照されたい。)