2020年12月26日
原発の使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設を巡り、電力会社が共同利用するという新たな案が浮上し、地元のむつ市が反発している。
この施設は、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が出資する「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」が運営するもので、2社の使用済み核燃料を受け入れる前提で建設された。
共同利用案は2社だけでなく、原発をもつ大手電力各社が利用するというものだ。大手電力会社でつくる電気事業連合会は、この共同利用案を検討したいと、12月17日に梶山弘志経済産業相、翌18日に青森県とむつ市に説明した。
むつ市の宮下宗一郎市長は18日、説明に訪れた電事連と経産省幹部に「むつ市は核のゴミ捨て場ではない。施設があるからという理由でむつ市に受け入れる必然性はない。全国で探すプロセスがあってしかるべきだ」と苦言を呈した。
関西電力の救済か
使用済み核燃料の保管場所の確保は、電力業界共通の課題だ。むつ市に確保できれば業界にとってはプラスになるが、現状で行き場のない使用済み核燃料が増えるむつ市にとっては、メリットを見いだしにくいのが実態だ。むつ市以外に全国で候補地を探したのかについても、明確な説明はされていない。
共同利用案が浮上した背景には、この問題に最も頭を悩ませている関西電力を電力業界が支援する意味合いが透けて見える。関電は高浜原発1、2号機(福井県高浜町)などの再稼働を巡り、福井県から中間貯蔵施設の候補地を年内に県外で見つけるよう求められているからだ。
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