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Daily Archives: 2020/12/22
福島第一原発事故 来年で10年 健康被害「私が書記に」 松戸の小笠原さんがルポ出版 via 東京新聞
東京電力福島第一原発事故から間もなく10年。松戸市在住のライター小笠原和彦さん(75)は、被ばくによるとみられる健康被害の実態を掘り起こした「東電被曝(ひばく)二〇二〇・黙示録」(風媒社)を出版した。 (牧田幸夫) 小笠原さんが取材に着手したのは一七年十一月。きっかけは松戸市議に「子どもが甲状腺がんと診断された」という連絡が寄せられたことだった。「3・11甲状腺がん子ども基金」の支援先には県内の世帯も複数含まれていた。 事故直後、東葛地域は局地的に放射線量の高いホットスポットが点在し、他地域に避難した人もいた。小笠原さんは「事故から六年、ついに私の住む街からも甲状腺がんの子どもが出てしまった」とし、「福島は今、どうなっているのだろうか」と、福島市など各地に足を運び被ばくの実態を調べた。 取材したのは知人の紹介をはじめ、動画などで情報を発信している被ばく者や議員、教師、医療関係者ら計二十人。避難指示区域となった福島県浪江町、大熊町、飯舘村出身者の声も丹念に拾った。同県内で小児甲状腺がんの患者が増えていることなど、証言とデータで健康被害の事実を積み上げ、三年がかりで一冊の本にまとめた。 (略) 国はがんの原因となり得る被ばくの線量が少ないことを理由に事故の影響を否定しているが、「百万人に二人か三人といわれた小児甲状腺がんがなぜ増えたのか。原発事故以外の理由で科学的に説明できる人がいたら説明してほしい」と国の対応を批判。 郡山市で取材した高校教師の言葉を引用し、「国にはがんを見つけてしまった責任がある。原発事故であろうが、なかろうが。国は将来を担う子どもたちを守る義務がある」と話す。 全文は福島第一原発事故 来年で10年 健康被害「私が書記に」 松戸の小笠原さんがルポ出版
「原発漂流」第4部 ガラスの迷路(2) 胎動/岩盤の島、誘致活動再び via 河北新報
「福島の事故から間もなく10年。そろそろ本格的にやりたい」 2019年秋、長崎県対馬市を訪れた原子力発電環境整備機構(NUMO=ニューモ)の職員に小宮教義市議(65)が告げた。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する勉強会再開の打診だった。 対馬では03年ごろから、一部の住民が最終処分場の誘致に向けた活動を続けている。強固な岩盤層に覆われた島は適地だとして、過疎が進む島の現状打開の道を処分場建設に託す。 07年に市議会が誘致反対を決議した後も活動は続いたが、東京電力福島第1原発事故で自粛を余儀なくされた。それでも誘致を諦めないのは「このまま人口が減れば対馬は存続できない」(小宮氏)との強い危機感があるためだ。 1960年ごろに7万近かった市の人口は今年、3万を割り込んだ。若者は島を出て戻らず、そうした子らの元に親が身を寄せることで人口減に歯止めが利かなくなっているという。 (略) 処分場選定を巡り10月、北海道の寿都(すっつ)町が第1段階の文献調査に応募し、近隣の神恵内(かもえない)村も国からの調査申し入れを受諾した。2町村は誘致のライバルにもなり得るが、小宮氏は「寿都は英断だと思う。町長宛に激励のメールを送った」と好意的に受け止める。 対馬に原子力関連施設はないが、原子力政策とは以前から浅からぬ縁がある。 1970年代半ば、島の中南部の美津島地区が、放射線漏れ事故を起こして母港の大湊港(むつ市)を追われた原子力船むつの新母港の最有力候補地になった。一定の水深があり後背地が広いことで白羽の矢が立ったものの、地元漁民らの反対で実現しなかった。 高レベル放射性廃棄物をガラス固化体にして地層処分するという現在の枠組みが80年に決まると、旧動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)が処分地選びに向けた広域調査を全国で秘密裏に実施。対馬が適地の一つとされたことが誘致活動の源流にある。 (略) 長い間、表だった動きがなかった処分地選定手続きは、寿都町と神恵内村の決断で急加速しつつある。関心を示す自治体は「他にも複数ある」(梶山弘志経済産業相)。2町村が開けたのはパンドラの箱であり、「宝箱」でもある。 「複数の自治体」に対馬は含まれるのか。NUMOは「個々のやりとりが公になると臆測を呼び、地域での率直な意見交換や議論を妨げかねない。文献調査実施の意思決定があるまでは個別の回答を控える」と、肯定も否定もしない。 全文は「原発漂流」第4部 ガラスの迷路(2) 胎動/岩盤の島、誘致活動再び