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「イスラム教徒になったのかよ?」 福島第一原発潜入取材に向けた”猛烈ダイエット”の記録 via 文春オンライン

『ヤクザと原発 福島第一潜入記』#5

鈴木 智彦

 30年近くヤクザを取材してきたジャーナリストの鈴木智彦氏は、あるとき原発と暴力団には接点があることを知る。そして2011年3月11日、東日本大震災が発生し、福島第一原発(1F)の潜入取材に向けて、虎の門病院で自己造血幹細胞の摂取と冷凍保存をして、放射線被ばくの症状に備えるのだった。『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)より、一部を転載する。(全2回の2回目/後編に続く)

(略)

改めて会社に確認したが、健康診断は不要だと言われた。健康診断を受けるよう私が求められたのは、造血幹細胞を採取し終わり、勤務まであと2週間を切った頃だ。

(略)

取材される側の気持ちを察するいい機会と割り切ればラッキーだったかもしれない。もちろん、その後、多くの作業員に話を訊かせてもらったが、自身の経験から「ご家族が心配してませんか?」と馬鹿げた質問をせずに済んだ。この質問は作業員の神経を逆撫(さかな)でする。そんなことはわかりきった上で、1F入りを決めたのだ。私の心情は少しずつ当事者のそれに近づいていった。マスコミ報道に当事者として一喜一憂した。

(略)

バスは4号機脇にあるプロセス主建屋の前に停まった。ここに私の仕事場、東芝製の通称・サリー(Simplified Active Water Retrieve and Recovery System)がある。シェルターの喫煙室で東芝の社員が「魔法使いサリー」とか「のっぽのサリー」と笑っていたから、呼びやすいようこじつけに近い略称に決めたのだろう。サリーは本来、汚染水処理のバックアップのために作られた施設だが、現在、稼働率が悪いアメリカ、フランス製の装置に代わり、メインとして稼働している。

(略)

原発作業員がもつ様々な資格

 原発作業員は様々な資格を有している。一例を挙げれば、プラント配管計装士、危険物取扱者、消防設備士、核燃料取扱主任者、第一種放射線取扱主任者、第二種放射線取扱主任者、第一種作業環境測定士、エックス線作業主任者、ガンマ線透過写真撮影作業主任者などだ。

 特別技能の他にも、足場組立等作業主任者技能講習、玉掛技能講習、小型移動式クレーン運転技能講習、フォークリフト運転技能講習、ガス溶接技能講習、高所作業車運転技能講習、電気工事作業指揮者教育、石綿使用建築物等解体等業務特別教育、粉塵作業特別教育、高圧端末処理技量、低圧・計装端末処理技量、ハンダ付コネクタ処理技量、圧着コネクタ処理技量、EHC配管組立技量、後打アンカ技量、ろう付け継手技量、圧着端子圧着作業、締結作業など、数々の講習を受けなければならない。

 私以外の作業員はみな、九割九分原発経験者だった。1Fを生業とする業者はもちろん、複数の原発を渡り歩く職人たちがほとんどだ。周囲から“ドル箱スター”と呼ばれていた作業員ですらかなりの講習を受け、いくつか資格を持っていた。ドル箱とは会社の取り分が多く、手取りが少ないという意味で、使えない社員に対する蔑称だ。

全文は「イスラム教徒になったのかよ?」 福島第一原発潜入取材に向けた”猛烈ダイエット”の記録

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